第120話 希望の活用

「スターが無事で情報を提供してくれた・・・」


その事実に安堵の顔を浮かべるコンスタリオ、今の彼女にこれが事実なのかどうか疑う余裕はなかった。シレットの帰還も合わさり、それだけ安堵の感情が浮かんできていたのだ。


「でもよ、それなら何で匿名通信にしたんだ?それにシレットの居場所を知って通信を送ったのもなんか・・・」


一方、モイスは素直に疑問を口にする。だがその行動は傍から見れば水を差しているようにも見え


「一寸、スターと私を疑うの?体を奪われたんだから当然声だって違っている筈よ。そんな事も・・・」

「わ、分かったよ。悪かったよ・・・」


と。シレットの怒りを買ってしまい、慌てて訂正せざるを得なくなる。よくよく考えればもっともな疑問ではあるのだが。


「それで、これからどうするの?」

「え・・・どうするって?」


コンスタリオの唐突な問いかけにその真意を測り兼ね、戸惑うシレット。


「スターから送られてくる情報をどう取り扱うかって事よ。今回は上層部が実際の侵攻を確認したから動いたけど何時も何時も動くとは限らないわ。スターからの情報を活用するには私達のアプローチが重要になる」

「私達がどう動くかでスターの行動が報われるか否かが決まるって事ですね」

「そう、私達の行動が伴わなければ今後スターから送られてくる情報全てが無駄になってしまう。それを防ぐ為にも今後の作戦、失敗を重ねる事は許されないわよ」


コンスタリオの真意が分かり、返答するシレット。それにモイスも黙って頷き、コンスタリオ小隊は暗黙の了承を行う。

一方、シレットが脱走した魔王の城では


「あの女は見つかったか?」

「いえ、既にこの近辺からは逃走した様です」


と未だシレットの捜索が続いており、その事は既にブエルスの天之御の耳にも入っていた。

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