第15話 魔王天之御

同時刻 某所においてスター達の前から立ち去った八咫が


「魔王天之御様、八咫、只今帰還いたしました。作戦は無事成功です」


と何者かに告げ、その何者かは


「ありがとう。それで彼らの動きは?」


と返答する。その声、その口調は魔王と呼ばれているとは思えないほど穏やかなものであった。


「直ぐに何かをしてくるという訳ではなさそうですが、かといってこのまま放置しておいていいとも思えません。可能な限り迅速に次の手を打つべきかと」

「そう・・・岬、やってくれる?」

「ハイ、喜んで!!」


八咫の進言に頷き、魔王は岬という名を呼ぶ。するとその岬という存在が挙手しながら飛び跳ねる。その姿は一見すると人族の幼女そのものであった。


「しかし、向こうも厄介な物を出してきましたね」

「ああ、俺も一目見たが、あれは放置出来ない。」


そこに四本の尻尾を持ち、狐の耳をした童女のような魔神族が入って来て言葉を話し、それに八咫が返す。


「うん・・・幸い、今回の一軒と空弧のおかげである程度の情報は掴む事が出来た、後は・・・」

「それが狙いですか?」


空弧の問いかけに黙って頷く魔王。


「御免ね、何時もこんな事ばかりに付き合わせて」


突然謝意を口にする魔王、それを聞いた配下の魔神族は


「いえ、私達は自ら望んでしていますから」

「そうそう、魔王様の御傍に居られるのなら、それだけで構いませんよ」

「志半ばで散った先代魔王の悲願、今度こそ果たしましょう!!」


と口々に忠誠心を口にする。その言葉に二心は微塵も感じられなかった。


「・・・ありがとう、父の遺志を受け継いでくれる魔神族は僕だけじゃない。それを教えてくれる君達は・・・」

「感謝の言葉は全て終わってから、お父上であればそう申しましょう」

「そうだね、なら今は!!」


そういうと魔王は自らの頬を叩き、気合を入れるような動作をする。


「じゃ、次の行動を開始しよう!!」


魔王はその発言と共に配下達を交え、今後の方針を考えていく。

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