第16話 敵NPCとして安全に殺し合うために
最初のゲームから、何度かゲームを重ねていくことで、様々なスタッフとしての発見があった。こちらについても記載しておこうと思う。
それはもちろん、敵NPCとしての戦い方。ひいては、安易な冒険者たちの全滅を防ぐということでもある。(前回のお話は相当に血の気が引いたからね!!)
NPCが存在するならば、敵NPCも存在する。いわゆる、プレイヤーキャラクターたちと対峙する、戦うための存在だ。それは人間だったり、モンスターだったり、怪異だったりする。
LARPは体を動かす遊びだ。特にチャンバラ形式ともなると、戦うときにはきちんと自分を律する必要がある。自制心が働いていないと、チャンバラで実際に動いて戦うときに、周りが見えなくなり、焦ってしまい、全体を見渡せなくなるわけだ。それは何を引き起こすのかというと──プレイヤーキャラクターたちの全滅というわけである。
もちろん、全滅を極度に恐れる必要はない。状況によってはあり得るのだ。特に、クライマックスは敵の強さを楽勝よりは少し難易度を引き上げていた方が盛り上がる。しかし、自分を律することができずあまりに必死になってしまって、常にプレイヤーたちを追い詰めてしまうのも、それはそれで問題だ。
まず、LARPにおいて戦闘で体を動かす敵NPCスタッフは、以下のことを心に留めることにした。
・敵NPC初体験の場合は、本番の前に少し別の場所で体を動かして慣れている人間と練習してみる
・戦っている最中も、周りを見ることを意識する→周りが見えると、戦局がわかってくる。
・クライマックスの戦いではない場合は、ある程度プレイヤーに勝ちを渡すくらいの気持ちで戦う(=あくまで大切なのは少し消耗させること)
・クライマックスの戦いの場合は、圧倒的な敵NPCの強さで圧勝しないように(LARPの場合は特に数は暴力になりやすい)、生き残っている敵NPCとプレイヤーの数を見つつ、調整をかける
例:
敵NPCが圧勝しそう→自分は無駄に吠えたり武器を振り回して隙を作ってあげる
味方が圧勝しそう→ちょっと本気出す
戦い方にも注意が必要だ。ゆっくりと重さのある武器を振り回すように武器を振り、よりスタイリッシュに美しく! あえて隙があってもOK!! 美しさこそ正義!! な「演技戦闘」において、敵NPCはより気にかける必要があると言える。
演技戦闘に対してそれを忘れたチャンバラ(=武器の重さを無視した振り回すだけの戦闘)を行えば、当然演技戦闘の方が不利になる。演技戦闘は忘れずに、隙は残してあげることを心がけて戦っていけば、プレイヤーたちが気持ち良く戦い、勝つことができるだろう。
敵NPCはあくまで対立するための存在ではあっても、プレイヤー自身と対立するわけではない。ゲームを楽しく成功させて行きたいのはお互い様だから、いわゆる「接待戦闘」を心がけるようにすると良い。
とはいえ、あんまり接待しすぎると甘い戦闘になってしまうので、両者の演技戦闘の中でプレイヤーに隙が生じたならば、遠慮なく切り込んであげると良い。また、敵同士といえどLARPゲームは安全が第一だから、戦っている相手の足元が危ないなどあったら、一度戦闘をストップして、危険を指摘してあげる、場所を移すなどの紳士的な行動も大切だ。
我々は安全に殺し合うのだ!!を信条としたレイムーンLARPスタッフは、事前にスタッフに対する戦闘訓練を行ったり、 上記に書かれたような内容を事前に伝えることを大切にしている。
特に初体験の方は大体は、最初から冷静に戦えないものなので、 それも加味して、無理のない配置にしている。(最初の簡単な雑魚戦などに参加してもらう等)
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