第405話 バランスは大事
まず
「諸将の皆が不安になるのも分かります。」
「長期による戦いによる疲労。加えてこの極寒の地での持久戦とあらば、お味方の
「しかし、さりとてそれは敵も同じこと。」
「いや、城内に引籠っている彼らこそ、より苦しみもがいているに違いありませぬ。」
「それゆえ、彼らは必死になり、我ら寄手以上の覚悟を持って戦に臨んでいる訳でございます。」
「しかし、私が思いますに、そこに敵の弱点があると思われます。」
「今、敵は不安と覚悟のバランスが絶妙に釣り合うことでかろうじて成り立っている状態。わずかな揺さぶりで、そのバランスを崩すことが出来ます。」
「叩き潰す策ではなく、追い詰める策。」
「この点に重きを置き、諸将の皆、再度考えて見ては如何でしょうか?」
“勝てる”ということを示し、将兵のモチベーションを高めるのも、勝利への道の一つである。
荀攸の言は、曹操の求めた答えとは少し違っていたが、この答えもまた一種の正解といえただろう。
この荀攸の言葉がきっかけとなったのか、次いで
「曹丞相。敵を追い詰める策を一つ思いつきました。」
「この
「そこで、その地の利を味方につけるのです。」
「泗水河と沂水河に堰(せき)を作り、両水を一つに向け、下邳の城を水浸しにしてしまうのです。」
「さすれば敵は不安に駆られ、荀攸が申されたようにバランスは崩れ、敵は内部より自壊しましょうぞ。」
郭嘉の策を聞いた曹操は、
「その意見、可!兵を動員し、すぐに実行するのだ!」
と、彼の策を提案し、下邳城攻略に乗り出したのであった。
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