第251話 不義はしないこと
「張飛!何をしている!」
長兄の叱責に、張飛は罰の悪そうな表情を浮かべたが、声を荒げて自分の了見を述べた。
「こいつは悪だ!見境なく人を裏切る、頭のネジが外れた狂人だ!こんな奴を生かしておくべきではないと皆が思っている!兄者だってそうだろう!!」
過激な発言だが、張飛の言い分も一理ある。
呂布は二人の義父を裏切って殺害した狂人。
いかなる理由があろうとも、それは覆ることのない絶対的な事変。
「このような男を助けている劉備は異常だ。」というのが世間の正直な感想であるのは間違いなかった。
しかし、他人が自分に対してどう思おうが、劉備には劉備の考えがあり、その考えを彼は崩そうとはしなかった。
「私がいつそんなこと思っていると言った!何月何日何曜日、何時何分何十何秒、地球が何回まわった時だ!言ってみろ!張飛!!」
「ぐっ!? ぬぬぬ・・・もういい!ふーんだ!!(○`ε´○)プンプン!!」
劉備に叱られた張飛は、火のような怒りの色を顔に
初見の宴席に続いて、二度目となる悪夢のような出来事。
呂布の顔色は以前ほどとは言わぬが青白くなっており、彼の胸中の複雑さを露わにしていた。
「・・・劉備殿。張飛殿は拙者を殺すように勅命が来ていると申しておりましたが・・・。」
「ああっ。・・・張飛の奴、そんなことも話してしまいましたか。困った
「・・・では」
「ええ、それは本当です。しかし、私にはそんな気は微塵もないし、また、要らざることを貴殿の耳に入れるべきではないと考え、黙っていました。」
「・・・・・・」
「それに、それは帝からの勅命ではなく、曹操からの密命です。」
「曹操からの!」
「ええ、間違いありません。これを・・・。」
劉備は勅使から来た詔勅(密書)を呂布に渡し、疑いを解いた。
呂布も、劉備の誠意を感じ取ったのか、
「・・・よくわかりました。劉備殿の申される通り、曹操が我らの仲を裂こうと謀ったのでしょう。・・・しかし、劉備殿。この呂布を信じて下され。この呂布は不義を致しません。改めてここで誓いましょう。」
と、彼は劉備の言動に感激して、揉めることなく、むしろ、劉備に礼を述べて小沛へと退がったのであった
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