第222話 人生は上手くいかない
「門を開けろ!吊り橋を降ろせ!・・・聞こえんのか!〇×△□!!」
呂布は城内に向かい、大声を出して怒鳴り上げた。
すると、城壁の上にクネクネと気持ち悪い動きをする小兵な男が現れた。
その男を呂布は知っていた。
その昔、一度だけ会ったことのある人物。
曹操を罠に嵌めるため、城へと呼び寄せた見覚えのある男。
城壁の上に姿を現したその男は、濮陽の大富豪『
「だめだめだめだめだめだめだめ。いけませんよ。呂布将軍。」
田氏は口に手を当て、嘲笑して呂布に言葉を投げかけた。
「将軍は死ななくてはならないんです・・・
「私は武士ではありませんので、強い方へと味方します。見たところ、本日は曹操軍の旗色の方が良さそうなので、私はあちら側につくことに決めました。」
「申し訳ございませんが、呂布将軍にはここでご退席願いましょう。・・・フフフフ、アハハハハ!!」
手が出ないことをいいことに、調子に乗って、呂布をおちょくる田氏。
この田氏の言動に呂布はキレた。
彼は馬の鐙に取付けてあった弓を手にし、田氏に向かい狙いを定めた。
すると田氏は、
「おっとっと。危ない、危ない。矢で狙うなんてや~んですぞ、呂・布・将・軍。・・・アハハハハ!!」
と、身をかがめ、矢の届かぬ物陰へとスススッと逃げてしまった。
「グギギギギギ!この(放送禁止用語連発!良い子の皆は真似しちゃだめよ!)!!」
呂布は牙を噛んで散々に田氏を罵ったが、それ以降彼は姿を現さず、狂狼の遠吠えは虚空へと葬られていくばかりであった。
一通り叫んだ後、彼の元に腹心の陳宮がやって来た。
「彼を信頼しきったのは私のミスでもあります。将軍。どうかお許し下され。」
田氏を紹介した立場である陳宮は、自分の非を呂布に詫び、彼に対して頭を下げた。
そしてその後、陳宮は東門より一人で城内に入り、田氏と交渉して、呂布の家族たちの身を貰い受けた。
これは彼なりの呂布に対しての罪滅ぼしであったのだろう。
この陳宮の行動が功をそうしたのか、呂布はこれ以降、この件に関して彼を責めることをしなかった。
領地を失った呂布は軍をまとめると、すぐにその場を後にした。
こうして、またしても流浪の旅を強いられることになった呂布。
その狂狼の横顔はさみしく、その背中には哀愁が漂っていた。
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