第194話 義を示したい

 『ピーンチ!陶謙ピーンチ!大ピーーーンチ!!わーーーーー!!!』


 という報は、北平の国境にいる公孫瓚こうそんさんと劉備の耳にも届いていた。


 公孫瓚たちは、今、北平の国境で暴れ始めた黄巾賊を討伐するために国境へと来ていたのだが、この報を聞いた劉備は陶謙を助けるために黄巾賊討伐を止めようとしていた。


「公孫瓚さん。徐州の陶謙殿を助けようと思うのですが・・・。」


「なにっ?どういうわけじゃ?お主は陶謙殿に何か恩があるのか?」


「いえ、そういうわけではございませぬ。ただ、陶謙殿は家来から慕われ、民や百姓からも愛されている名君だと聞きます。そんな人物が私情による争いにて命を落とすのは忍びないかと思いまして。」


「う~む。確かに陶謙殿は善政を敷く名君だともっぱらの噂だが・・・私は止めた方が良いと思うぞ。陶謙を助けることで、曹操から恨みを買うべきではないと私は思うが・・・。」


 劉備の話を聞いた公孫瓚は、不必要に曹操から恨みを買うべきではないと劉備に忠告した。

 しかし、劉備は、


「公孫瓚さんの言葉の意味もよくわかります。しかし、今、この国では『義』が廃れつつあります。こんな時にこそ『義』を示すべきだと私は思います。」


 と、公孫瓚の言いたいことも理解しつつ、陶謙を助ける意思を示した。


 この劉備の発言に、公孫瓚は腕を組んで、


「ふむぅ。・・・しかたない。そこまで言うのなら援軍に行っても構わんぞ。黄巾賊は私の軍だけでも討伐は可能だからな。」


 と、劉備の意見を尊重し、彼の要望を承諾することにした。


「ありがとうございます。・・・では、兵を五千つれて徐州に~~~行ってきます!!」


「行ってら~~~!!」


 こうして劉備は兵を招集して、徐州へと向かったのであった。

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