第121話 磐河の戦い その一

 公孫越暗殺される!

 この報を聞いた兄の公孫瓚は憤怒も憤怒、大憤怒であった!

 怒りのあまり、顔が真っ赤になった公孫瓚は


「あの優柔不断野郎め!貴様の血で冀州の河を赤く染めてやる!!」


 と大軍を率いて盤河ばんがへと押し迫った。

 そして、公孫瓚軍と呼応するように袁紹も盤河へと軍を進め、盤河を挟んで2軍は対峙した。


 公孫瓚は盤河を架け渡す橋の上に馬を進め、大声で袁紹を呼び寄せた。


「やいやい袁紹!やいやい袁紹!やいやいやいやい袁紹袁紹!出て来いや!!」


「おうおう私だ!袁紹だ!何か御用か!どうなのか!!」


 公孫瓚の挑発に、袁紹も、馬を躍らせ橋に来て、盤河橋上で罵りあう。


「てめぇぇぇーーー!ざっけんなよ!弟を殺しやがって!!」


「はてさて何のことやら。ご親族の不幸、誠に残念に思いますなぁ。」


 袁紹は知らぬ存ぜぬのお手上げポーズで公孫瓚を挑発して、彼を煽りに煽った。

 袁紹の煽りに、公孫瓚は頭の中が沸騰していた。

 公孫瓚の視野は狭まり、彼の眼にはもはや袁紹しか映っていなかった。

 そして数分の罵り合いの後、公孫瓚は


「死ねぇぇぇぇーーー!袁紹、死ねぇぇぇぇーーー!!」


 と叫びながら、袁紹に向かい馬を走らせ、猛突していった。

 それを見た袁紹は、


「おっと、これはマズイ退却退却。」


 と言って、乗っていた馬を反転させ、袁紹軍陣営へと馬を走らせた。

 袁紹軍陣営へと帰還しようとする袁紹とは対照に、袁紹軍陣営より1人の武将が陣を飛び出し、公孫瓚に向かい馬を走らせた。


 盤河橋の上ですれ違う袁紹と武将。

 袁紹は武将とのすれ違いざまにこう言った。


「文醜。あとは任せたぞ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る