第83話 遅刻はよくない

復ッ活ッ!!

劉備玄徳復活ッ!劉備玄徳復活ッ!劉備玄徳復活ッッ!!

関羽雲長復活ッ!関羽雲長復活ッ!関羽雲長復活ッッ!!

張飛翼徳復活ッ!張飛翼徳復活ッ!張飛翼徳復活ッッ!!


 遂に復活した主人公トリオ。

 ここで劉備と関羽と張飛の3人らが、いかにして奇跡の復活を遂げたかの説明をさせて頂くことにする。


 劉備と関羽と張飛の3人は安喜県の警察官の任を退職した後、各地にて賊退治などを行い武功を上げ、帝の使いであった督郵への狼藉を許され、片田舎で県令をしていた。

 安定した職に就き、のんびりとした生活をしていた彼らの元に一報が届いた。

 それは曹操が各地の英雄たちに董卓討伐の檄を飛ばしたとの報であった。


「してェ・・・活躍してェ~~~・・・」


 劉備と関羽と張飛の3人は曹操の檄を受け取った英雄たちを羨ましがった。

 彼らは片田舎の県令という小役人。

 曹操から檄文を直接渡されるわけでもなく、噂でその実を知ることしか出来なかった。


(そりゃそうですよね~。私たちは田舎の小役人ですもんね~。曹操殿も無視しますよね。というより、曹操殿は私たちの顔と名前すら覚えていませんよね。アハハハハ。・・・はぁ。)


 落込む3人であったが、ここで凹んでいては駄目だと気持ちを立て直し、彼らは反董卓連合に参加することにした。

 そして、部下数名を引き連れ、河南の陳留へと向かった。


 陳留へと着いた劉備はすぐに曹操に会うことはせずに、陳留郊外の北にあった無人の廃墟にて、とある軍の到着を待った。


(まだかな~まだかな~♪公孫瓚のあんちゃんまだかな~♪)


 劉備と公孫瓚は盧植先生の元で学問を学んだ仲である。

 劉備はその時のコネを使い、公孫瓚の軍に自分たちを入れてもらおうと考えていた。


(公孫瓚の兄ちゃんも曹操の檄に応じたと聞いた。ここで待っていれば彼の軍がやってくるだろう。)


 劉備は心をワクワクさせながら、廃墟にて、公孫瓚の軍の到着を待った。



1日経過。


(・・・来ないな。公孫瓚の兄ちゃん、道に迷っているのかな?)


3日経過。


(・・・ま、まぁ、陳留まで距離があるし、1日や2日の遅れなんて誤差だよね。誤差。気長に待つとしますか。)


5日経過。


(・・・随分と遅くね?何か問題でも発生したのかな?でもまだ時間はあるし・・・も、もう少しだけ待つか。)


7日経過。


(えっ!?ちょっ!?遅くね!いくらなんでも遅くね!もう1週間だよ!何してんの公孫瓚の兄ちゃん!)


10日経過。


(・・・はぁ?マジで何してんのあのボケナス?いい加減にしろや!こっちはもう10日も廃墟の中で待ち構えてんだぞ!しかもメンバーは全員男!糞つまんねぇから早く来いや!!)


15日経過。


(・・・ごめんなさい。ナマ言ってすいません。本当に許して下さい。公孫瓚の兄貴、早く来てつかぁさい。)


20日経過。


(・・・私が悪かったです。お許し下さい。本当に早く来てください。何でもしますから。)


25日経過。


(・・・チッ!)


30日経過。


(はいはい。ようやくの御到着ですか?そりゃようござんしたね?一体何様なんですかね?もう皆さん待ちくたびれてますよ?呆れてますよ?にもかかわらず、未だに牛歩戦術ですか?そうですか?・・・調子こいてんじゃねぇぞ!公孫瓚さんよぉ!!)


 劉備たちは怒り心頭、廃墟のドアを蹴破り、獲物を片手に公孫瓚のいる場所まで全力疾走していった。


(よっしゃーーー!いたぁーーー!あのアホ面!間違いねぇ!公孫瓚の兄ちゃんだ!覚悟しやがれーーー!!)


 劉備たちは鬼気迫る表情を浮かべて公孫瓚の元へ突撃した。

 彼方より此方に迫る彼らを見た公孫瓚は、自分の周りを囲むように護衛を配置した。

 護衛の動きに構わず、勢いそのままに突っ走る劉備たち。

 そして、遠目より公孫瓚の表情がわかる程度にまで近づいた彼らは、勢いそのまま、スライディング土下座を決め、公孫瓚に懇願した。


「公孫瓚の兄ちゃん!私です!劉備玄徳です!同門のよしみで私たちを軍に入れてください!お願いしやす!!」


 こうして、劉備たちは公孫瓚の元で世話になることになったのであった。

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