第59話 権力には屈しない
董卓は各地の諸公たちを集め大宴会を開いた。
董卓の思惑通り、宴会に集った者たちの大半は彼に媚を売る者たちばかりであった。
また、董卓の事を良く思わない者たちも、董卓の威光を恐れ、しぶしぶ宴会に参加していた。
諸公たちが各々宴会を楽しんでいると、主役である董卓が宴会場に姿を現した。
董卓が姿を現すや否や、諸公たちは酒を持って董卓に近づき、媚びへつらった。
諸公たちとの一通りの挨拶が済むと、董卓は自分の策の演説を始めた。
「さて諸公の皆様方。わしから皆様に一つ提案がある。」
(???)
董卓のいきなりの演説に諸公は戸惑いの表情を浮かべた。
彼らの表情を見て、董卓は一笑すると演説を続けた。
「皆は今の天下に不満を持っておらぬか?わしは不満を持っておる。それはなぜか?それは新帝が不甲斐ないからだ。」
「そもそも天下を治める天子は聡明で人徳ある人物であらねばならぬ。しかし今、天下を治めている新帝にはそれが無い。皆無である。所詮は元肉屋の将軍の甥。そのような才能があるはずもない。」
「しかし、新帝の弟である陳留王は違う。真の皇帝に相応しく、聡明で魅力あり、民からの信頼を得るに値する人物と言えよう。」
「そ・こ・で・だ。わしはこう考える。今の新帝を廃し、陳留王を新たな帝に即位させるべきでないかと?」
国を揺るがす大発言に呆気にとられる諸公たち。
そんな彼らをよそに、董卓は自分の演説に酔いしれ、熱弁を続けた。
「そう!それこそが正義!それこそが絶対!それこそが必要条件!」
「殻に閉じこもった太平の世という卵を
「わしは
董卓は驚くべき大事を提案した。
いや、それは提案ではなく宣言であった。
((異を唱えれば死ぬ!!))
有無を言わさぬ威圧感溢れる董卓の演説を聞いて、諸公たちはただ俯くしかなかった。
(わしに逆らう者などいまい!これで天下はわしのもの!!)
董卓は自分に屈服した諸公たちを満足げに眺めていた。
異を唱えず静まる宴会場。
しかし突如、宴会場に大きな声が響き渡った。
「異議あり!!」
大声のした方を董卓及び諸公たちが見た。
大声を出した人物。
それは荊州の丁原であった。
諸公たちは丁原を注視し、事の成り行きを黙って見守ることにした。
しかし、董卓及び諸公たちは見る人物を誤っていた。
本当に注視すべき人物は彼の後ろにいた。
丁原の後ろには三国志最強の男が立っていた。
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