第46話 死にたくはない
「えらいこっちゃ!えらいこっちゃ!ヨイヨイヨイヨイ!」
宮内は騒然となっていた。
十常侍が企てた何進暗殺計画が露見していまい、十常侍を皆殺しにすべく、諸大臣が宮内に押し入ってきたのだ。
「蹇碩様!蹇碩様!早くお逃げください!何進将軍を筆頭に諸大臣が城内に侵攻しております!!」
「んなことはわかっている!早く奴らを追い返せ!!」
「む、無茶です!敵は5千以上の兵を率いて攻めてきております!防ぐ手立てがありません!」
「5千以上だと!そりゃ無理やでぇ・・・。」
死に体の帝の前でも冷静沈着に対応していた蹇碩だったが、自分の死が目前に迫っているとなると冷静ではいられなかった。
冷静でいられたならばこの状況を打開する策を思いついただろうが、そんな奇跡は起きなかった。
蹇碩はただ逃げ惑うことしか出来ず、城内を懸命に走り回るしかなかった。
やがて蹇碩は力尽き、足を止めて
「ぐわあああああーーーーーーッ!!!」
「け、蹇碩いいいい!!」
蹇碩の死を少し離れた場所で見ていた十常寺の首領である張譲は必死に打開策を考えた。
(ま、まずい!このままでは蹇碩だけでなく十常侍全員が首チョンパされてしまう!何か・・・何か方法は無いのか・・・そうだっ!!)
さすがは悪名高き十常侍のリーダーである張譲。
この絶望的な状況下で起死回生の一手を思いついた。
張譲が思いついた策。
それは、何進の妹である何后に命乞いをするという情けない策であった。
「聞けぃ!我が同胞たちよ!今から何后様にお願いして何進をなだめてもらう!それしか我らが助かる道は無い!何后様のもとへと急ぐぞ!!」
そう言って張譲は生き残った十常侍のメンバー数名とともに、何后のいる部屋へと向かった。
なぜ張譲は何進の妹に命乞いをするという策を思いついたのか?
それは、何進の妹が皇后になれたのは十常侍のおかげであることに起因する。
唯の肉屋の売り子であった彼女を十常侍が帝に献上したのだ。
十常侍が帝に献上しなければ、彼女は唯の肉屋の売り子として貧しい生涯を終えただろう。
そのため、何后は十常侍に恩義を感じていた。
張譲はその恩義を利用して何進の怒りを鎮めようとしたのであった。
張譲一行は何后のいる部屋へ到着すると、彼女に事情を説明して命乞いを始めた。
「何后様、何后様。昔の恩を少しでも覚えているのならば、我らをお助け下さい。」
十常侍たちは膝をつき、頭を地面に擦りつけて命乞いをした。
そんなプライドを捨て命乞いする十常侍を見て同情したのか、はたまた恩を忘れていなかったのか、何后は彼らに対してこう宣言した。
「確かに今の私が宮殿に住んでいられるのはあなたたちのおかげですものね。・・・わかりました。兄を説得しましょう。」
「おおっ!感謝感激雨あられです何后様!」
「これぐらい
何后は何進を説得すべく、何進のもとへと足を運んだ。
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