第三章 流浪の蒼天

第37話 つまらぬ日常

 劉備が安喜県の警察署長に任命されて4ヶ月が経過した!

 4ヶ月だ!4ヶ月!1年の3分の1だぞ!なんてこった!信じられん!

 この間に悪人たちは影を潜め、村を襲っていた盗賊たちはスタコラサッサと逃げ出してしまった!

 これにより村の人々は劉備を崇め、彼を心の底から信頼していた!

 何という劉備の手腕!何という魅力!まさに帝王の血を引く者!

 やはり劉備は底知れぬ恐るべき才能の持ち主であった!

 以上を踏まえて第三章スタート!



「ちゅまらん。」


 劉備は安喜県での生活に飽き飽きしていた。

 この4ヶ月で治安がすっかり良くなり、彼はやることがほぼなくなっていた。

 劉備だけでなく義弟2人も同様に退屈を極めており、何かことが起きないかなと不謹慎なことを考える日々が続いていた。


 そんな退屈な日常を過ごす彼らに一報が届いた。


「何っ!都より帝の使いがやってくると!」


「はい。黄巾の乱で功を立て、官職についた者たちがしっかりと働いているかどうかの視察に参られるとのことです。」


「そうか・・・承知した。出迎えの準備をするとしよう。」


 劉備は村の役人からの報告を聞いて、出迎えの準備を始めた。

 安喜県は片田舎。特に何もない地であったが劉備は出迎えのために村人たちと協力して、ご馳走や酒を準備した。


 あくる日、役人の報告通り、帝の使いが安喜県に訪れた。

 帝の使いとしてこの地にやって来た督郵とくゆうは、見た目からして性格の悪そうな傲慢男であり、事実、村を訪れるやいなや


「なんというド田舎だ。こんな村を歩き回るなど何の価値もない。早く我を旅館に案内せよ。まったく村の役人は何をしておるのだ。」


 と、村の人々に聞こえるように大声で村の様子を罵った。


 督郵が村の様子を見てブツブツと文句を言っていると劉備、関羽、張飛ら3人が彼を乗せた馬車の前に姿を見せた。


「お主たちは何者じゃ?はよ名乗れ。」


 督郵は右手をひょいひょいと動かして、劉備に名を名乗るよう催促した。

 人を小馬鹿にするその態度に張飛はむかついたが、グッと堪えてその場に踏みとどまった。


「安喜県の警察署長をしております劉備玄徳と申します。」


「お前が劉備か。我をもてなす準備は出来ておるのだろうな?


「はい。何もない村でありますが、精一杯のもてなしの準備はさせて頂きました。」


「よろしい。ではさっさと宿へと案内せよ。」


「わかりました。こちらです。」


 劉備たちは先頭して督郵を旅館へと案内した。

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