017.Drawber Organ~ドローバーオルガン

エレクトリックオルガンといえばハモンドオルガンが有名。

その名の由来は1934年、ローレンス・ハモンドの手により発明されたからだ(社名をハモンドという)。有名なところで「B3」「C3」がある。

サイン波状に刻まれた縁を持つ「トーンホイール」と呼ばれる円盤を電気によって回転させ、それによって起こる電磁波を採取することでサイン波を発生させ、それを音声信号として出力する技術によってオルガンの音は出来ている。ハモンドB3には91枚のトーンホイールが搭載され、内12枚を低音鍵盤用、79枚は通奏鍵盤用である。

このサイン波は、常にトーンホイールが回っているため、常時発音状態にある。キーを押すことで、それを採取して音を出す。故に、音量の変化はつけられず、足鍵盤の奥に付けられたボリュームペダルで調節することになる。

発生するサイン波はあまり質の良い物ではないが、かえってそれがハモンドオルガンたらしめている。

そもそもこのトーンホイールは、パイプオルガンのフィート管を再現するもので、16フィート、5と1/3フィート、8フィート、4フィート、2と2/3フィート、2フィート、1と3/5フィート、1と1/3フィート、1フィートまで9種類のホイールが用意され、そのボリュームを調整するレバーをドローバーやハーモニックバーと言う。このことからハモンドオルガンを、ドローバーオルガンと称することもある。

ちなみに、8フィートの下に5と1/3フィートがある理由は、聴覚上5と1/3フィートが8フィートより低く感じるためである。

教会のミサ曲であるはずゴスペルが、何故パイプオルガンではないのか?

それはアメリカの黒人の教会は貧乏であった為、パイプオルガンを造るほどの金がなかったのだ。その変わりにこのエレクトリックオルガンを買い、ミサ曲に用いたのである。だから、ゴスペルはエレクトリックオルガンが使われているのだそうだ。

電気オルガンにはもうひとつ種類がある。

それがコンボオルガンといわれる、コンパクトなオルガンだ。ローズエレクトリックピアノほどの大きさで、持ち運びが容易に出来るオルガンとして人気を博した。多くの真空管を利用して作られたハモンドオルガンは非常に大きいものだが、コンボオルガンはコンデンサーを使用することで、そのコンパクトさを実現させている。

ボリュームレバーなどで、各フィート毎の音量を組み合わせて音を作り出す。これはドローバーオルガンと同じだが、決定的に違うのはそのサウンド。

ドローバーの音が重厚と表すれば、コンボはピーピープープーというチープなサウンドだった。

もちろんそれが個性的なサウンドであり、コンボオルガンのサウンドなのである。

当時は何とかコンボでハモンドオルガンの音が出せない物かと頭を悩ませたという。

有名所は今やギターエフェクターやアンプで有名なVOXや、Farfisaだ。オルガンがはやった時代には、ブラザー工業など楽器メーカー以外のメーカーも出していた。「VOXコンチネンタル」のサウンドは当時――60年代の楽曲(Doorsが有名)から沢山聞ける。

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