第34話 リベンジ!コボルト要塞戦
その日のコボルト要塞は物凄い熱気に包まれていた。理由はもちろん、これから始まる要塞
今回は前回と違い最初からパーティーを組んでいた。前回は初めてバトルに参加する
パーティーを組むと何か違うのかって?パーティーを組むと仲間のHPがひと目で分かるようになるんだよ。なので、普通は僧侶が気付くはずなんだけど、案の定里奈の奴軽くパニくってたからなあ・・・。
しかし今回は前回とはひと味もふた味も違う。まず、俺と団長が同じ相手を斬りつけることを徹底する。弓兵のアッキーさんは、離れた場所から同じ相手、又は、俺か団長を斬りつけている奴を攻撃する。
そして、エリナと千隼さんは俺と団長、センジンさんはアッキーさんを主に回復する役に回る。そして、ウォールと呼ばれる
これだけ徹底すれば、1時間のうち、一度くらいは要塞を奪取できそうな気がする。後は、バトル終了時に要塞を自由同盟が保持していれば、晴れてコボルト要塞周辺の領主となることが出来る。
まあ、そんなに上手くいくとは、前回のバトルを体験した身としてはとても思えないが、せめて1時間の制限時間内に1度は要塞の主になろう!というのが今回の目標だ。現実的な目標だと思う。
ライデン「おい、まだ始まんないの?」
ダーク「あと10分くらいかな。てか、なんでお前がそんなに興奮してるんだよ」
ライデン「お前そりゃ、こんなに大勢のギルドが集まってんだぜ。見学とはいえ燃えるだろ!」
そう、今回のコボルト要塞戦は、前回よりも参加ギルドが増えていた。
エリナ「ねえ、これ大丈夫なの?前回より難易度上がってない?」
千隼「うーん、逆に参加人数が増えることで混乱の度合いも増すから、新参の私たちには逆にチャンスかもしれないわよ?」
千隼さんによれば、コボルト要塞戦に参加するギルドは、大体が同じメンツになりやすいらしい。なので、お
そんな事を話してる内に、いよいよバトルの時間がやってきた。他ギルドの人達も、一斉に要塞境界線、通称「ライン」の前まで集まってくる。
パッパラーパラララララパッパラー!
ファンファーレの音が鳴り響き、バトルがスタートしたことが宣言される。ファンファーレが鳴り響くと、各ギルドのギルドマスター、うちで言うと団長が現在の要塞を所持ギルドに宣戦布告を送る。するとギルドチャットに
「自由同盟がわんにゃん王国とのバトルに突入しました」
とのログが流れた。
てか、わんにゃん王国ってどんだけ可愛い名前のギルドなんだ。まあ俺はどっちかって言うと猫派だけどな。いつもクールぶってるくせに、飯の時だけは
いや、そんな事はどうでもいいんだよ。そんな事を考えながらも、俺は真っ直ぐ要塞門へと突っ込んでいった。
今回は、わんにゃん王国が要塞主なんだけど、コボルト要塞を防衛しようなんて物好きなギルドは皆無に等しいので、当然のごとく要塞は放棄されていた。なので、いち早くクリスタルを奪取したギルドが
要塞戦には幾つかルールが有る。
1・宣戦布告は、要塞門や城壁から10マス離れた要塞境界線【ライン】の外からしか出来ない
2・どこかのギルドがクリスタルを奪取した場合、その他のギルドは、一旦ラインから30マス離れた外へと出される。
3・要塞戦の時間内なら、何度でも宣戦布告できる。
4・要塞戦の制限時間が切れた瞬間に、要塞を所持していたギルドが新しい要塞主となる。
5・布告した側のギルドマスターが死亡した場合は、ギルドメンバー全員が、一旦ラインから30マス離れた場所へと出される。
簡単に言うとこんな感じだ。なので、要塞戦スタート直後にクリスタルを奪取しても、その後1時間守りきれなければ全く意味はないんだが、まあ、幸先良いスタートを切りたいという
普通は門防衛を破ってからウォールへ向かうんだけど、わんにゃん王国の防衛は居ないんでまっすぐウォールへ向かっている。コボルト要塞でバトルするようなギルドで、門防衛出来るような規模のギルドはたぶん居ないだろう。
とか思ってたら、いきなり要塞外の境界線の外に放り出された。みんなで「へ?どういうこと?」とか言ってたら、チャット欄にログが流れた。
「わんにゃん王国が自由同盟に勝利しました」
ダーク「ええええええええええええええ!?」
エリナ「え?どうなってるの?」
団長「ごめん、誰かにやられちゃったw」
ダーク「ちょ、団長死ぬの早すぎ!」
団長「いやあ、なんか
ダーク「あー、でもそれわかる。俺なんか、マウスを握る手が震えちゃって」
団長「そーそー!そういうのあるよねー」
団長「じゃあ、一回どっかのギルドがクリスタル取ったら、すぐに宣戦布告するから準備しといてね」
アッキー「撃ちまくるぞー」
アッキーさんがはりきると何故か不安に駆られる俺だった。だって、大体被害を受けるの俺だもん!
「セブンスナイトがわんにゃん王国に勝利しました」
団長「布告いきます!」
「自由同盟がセブンナイトとのバトルに突入しました」
布告のログが流れるや否や、俺達はすぐに門へと走った。他のギルドの奴らは、ギリギリまでクリスタル周辺で戦っていたので、ラインから30マス、つまり俺達より30マス後方に飛ばされたばかりだ。
なので、他ギルドのやつらの布告が遅れている今がチャンスだ!今なら、セブンナイトの奴らしかウォール周辺には居ないので、十分クリスタルを狙えるチャンスは有ると思う。こうなると、さっき団長が
燈色「みんながんばれー」
今日も見学席からバトルを見ている燈色から、ギルドチャット内で声援が送られてくる。
燈色と利公は、バトルへの参加意思はあるんだけど、レベルが足りてないんだよな。あんまりレベルが低いと、いくらコボルト要塞戦とはいえ、死にまくる可能性がある。死ぬと、泣きたくなる程の経験値をロストしてしまう。で、失った経験値を復旧させるには、これまた大量のゴールドが必要になる。
団長なんかは、一回死んだくらいじゃなんとも思わないみたいだけど、俺はもうマジでへこむ。失った経験値を稼ぐのに俺がどれだけ頑張ったと思ってるんだー!って部屋で叫んで里奈の奴にうるさい!って怒鳴られて、ダブルでヘコんだなあ。
俺がちょっとだけ過去の思い出に浸っていると、ウォールが見えてきた。そして、その周辺でウォールを防衛している3人のセブンナイトのギルド員達。
セブンナイトなのに3人かよ!って、つい突っ込みそうになったじゃないか!
俺はちらっと団長の位置を確認した。俺の真後ろから付いてきている、だったら俺がファーストアタックを取ったほうがいいかもな。そう思い、一番手近に居たセブンナイトの剣士に斬りかかる。
ガキーン!と音がして、俺の剣は相手剣士の盾に弾かれてしまった。だが、その隙に団長の剣が、真横から剣士に振り下ろされる。大きくのけぞる剣士。その隙に、今度は俺の剣が振り下ろされる。
作戦通り、2対1に持ち込むことで、かなり接近戦を有利に勧めることができているな。と、思ってたら急に俺のHPが減り始める。セブンナイトの弓兵からの攻撃だ。そして、相手の剣士にヒールが掛かる。セブンナイトの僧侶からのヒールだ。
ダーク「アッキーさん、相手のヒーラーへ攻撃お願い!」
アッキー「オッケー」
そう言いながら、セブンナイトの弓兵に矢を撃ちまくるアッキーさん。
ダーク「ちょっとお!ヒーラーに撃ってって言ったじゃん!なんで矢の撃ち合いやってんのさ!」
アッキー「なんかアーチャーの血が騒いだ」
ダーク「意味わからんし!お願いだから、ヒーラー狙って下さいよヒーラー!」
アッキーさんは、そんな俺の必死のお願いに「ちぇっ、仕方ないなあ」と言いながら、ターゲットをヒーラーに変更する。やはりさっきの嫌な予感は的中したようだ。
弓兵からの俺への攻撃をなんで無視するかって言うと、なぜならこちらには3人もヒーラーがいるからだ。俺が弓兵から攻撃を受けた所で、3人からの手厚いヒールでHPはすぐに回復する。なので、相手のヒーラーを潰すことを優先させた。
案の定、アッキーさんに攻撃された相手ヒーラーは、アッキーさんに撃たれてどんどん減っていく自分のHPの回復で手一杯になり、剣士へのヒールが滞りだす。そして俺と団長から攻撃されていた剣士は、ついにHPがヤバくなったんだろう。帰還アイテムを使って飛んでいってしまった。
ダーク「よし!じゃあ一斉にウォール破壊に移行しよう!」
そういうわけで、一番やっかいだった剣士がいなくなったので、弓兵と僧侶はスルーして、俺達はウォール破壊を始めた。弓兵からの攻撃は、3人のヒーラーで余裕だし、何より、ほかギルドが来てしまう前にクリスタルを奪取したかったんだ。
俺と団長とアッキーさんで必死にウォールを殴り続けた。そして、他ギルドの奴らが門をくぐるのが見え始めた所でついにウォールが破壊された。
ダーク「団長!はやく!はやくクリスタル取ってえええ!」
団長「お任せあれえええええ!」
「自由同盟がセブンナイトに勝利しました」
その瞬間、ウォールへ向かっていた他のギルドの奴らは、一旦ラインの外へと飛ばされていく。
ダーク「きたああああああああああああああああああああああ!」
エリナ「やった!」
センジン「え?これ、今、僕らが要塞主なの?」
団長「そうだよ!
今回の目標は、制限時間内に一度でいいから、クリスタルを奪取することだったので、これで目標は達成されたわけだ。そして、団長の頭上には王冠が輝いている。これは今現在、団長が要塞主であることを示している。
「ブラックアウトが自由同盟とのバトルに突入しました」
「セブンナイトが自由同盟とのバトルに突入しました」
「チーム虹が自由同盟とのバトルに突入しました」
「ワールズ・エンドが自由同盟とのバトルに突入しました」
「二次元は最高だぜが自由同盟とのバトルに突入しました」
「未来同盟が自由同盟とのバトルに突入しました」
「南の島が自由同盟とのバトルに突入しました」
しばらくすると、一斉に布告ログがチャット欄に表示された。
ダーク「うをっ!」
燈色「7つのギルドから布告されてる・・・。怖い」
エリナ「これは確かにちょっとびびっちゃうわね」
団長「みんな!無理して防衛しようとしないで、やばいと思ったらすぐに帰還アイテム使うようにね!」
まあ、7つものギルドを相手にして勝てるわけがないからなあ。
千隼「うわあ、こうして布告を受ける側に回ると圧倒されるわね・・ってあれ?」
エリナ「どうしたの千隼?」
千隼「ブラックアウトギルドの名前がチャット欄に見えた気がしたけど・・」
ダーク「え?ブラックアウトって、バトルギルドの大手じゃなかったっけ?」
千隼「うん、カシオペアサーバーでも、1,2を争う超大手」
ダーク「見間違いじゃないの?」
俺達がそんな会話をしていると、門をくぐってやってくる他ギルドの奴らが見え始めた。先頭を走ってくるやつの所属ギルドを確認する。
ギルド名:ブラックアウト
ダーク「ちょ!ホントにブラックアウトきてるよ!なんで!?」
先頭を走ってくる剣士の頭上に表示された紋章は、カシオペアサーバーNo1バトルギルド「ブラックアウト」の紋章だった。
なんでこんな練習用の要塞に大手ギルドがきてるんだ・・・。
急に現れた、ブラックアウトの剣士たちの前に、俺たち自由同盟が太刀打ち等出来るわけもなく、ゴリゴリと減っていくHPバーの表示を確認して、帰還アイテムを使用した。
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