第79話
こんな状態でもいい、彼が愛してくれるというのなら。
そんなの嫌だ。私はちゃんと彼と恋をしたい。
相反するようで、本質はほぼ同じの、考えたって無駄な考えが私の脳を支配する。
受け入れたい、でも受け入れがたい。
私の中をぐるぐるする。怒りの連絡は、イズミに送り付けたが、どこ吹く風だ。
もともと人付き合いは浅い私に相談できる相手はろくにいない。
一人で悶々と思いを抱えていた。それでも今まで困ったことも、苦しんだこともなかった。自分の決めたことに後悔したことなんて今までなかったし、それをかなえるためにいつだって前に進んでいた。
「つぐな。」
「姉ちゃんのことを呼び捨てないの、亜哉。」
「もう、意地張ってないで怜那さんと話せば?」
「どこに母親に恋愛相談する娘がいるのよ。母親のことを名前で呼ぶのもやめなさい。」
「世の中少なくはないと思うよ。あの人ああ見えて、そういうの楽しみにしてるよ。」
「まっぴらごめんよ。」
母との折り合いは悪くはないが、得意としていないのも事実だ。
「じゃあ、さっさと拓真さんと向かい合いなよ。あゆちゃんから聞いたよ。」
「あの娘も全部を知ってるわけじゃないのだけれど…。」
「うん。そう言ってた。」
亜哉はこくりと頷く。
「でもね、今度は逃げてるのは拓真さんじゃない。姉ちゃんだよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます