第50話

「拓真、つぐちゃん。」

部屋をおばさんが訪ねてくる。

「はーい。」

「何?母さん。」

「お夕飯用意してあるからよかったら食べて行って!」

「ありがとうございます。おばさま。」

私が礼を言うと拓真が心配そうな目を向ける。

「なに?」

「大丈夫か?つぐんちも準備してあるんじゃないのか?」

「うちは、家にご飯のタイミングでいなければ、亜哉に食われるのがうちの決まりみたいなもんだから。メール一本入れればオッケーよ。」

ずっと鍵っ子だった私の育ちはそういうものだ。

「そっか、じゃあ食べていけばいいよ。」

「乗っといてなんだけど迷惑じゃない?お邪魔なら帰るわ。」

急に心配になって拓真に問いかける。

「へーきへーき。なんせ育ち盛りがいるから、大量に作るからな。つぐ一人増えたところでなんの問題もない。両親も3兄妹揃って料理も得意だし。」

「そう、じゃあ、ありがたくご相伴に預かるわ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る