突然変異
スパゲッティが恋をした。相手はそうめんだ。
禁断の恋だった。
素材も文化も土地も違う叶わぬ恋のはずだったが、彼らは周囲の反対を押し切り、偏見の眼差しも断ち切って絡み合い、結ばれた。
だが待望の子どもが生まれたとき、お互いに不倫だ何かの間違いだと揉め合いになり、二麺の絆にひびが入る。
亀裂は二つの麺を遠ざけるように広がり、スパゲッティとそうめんは離婚することになった。
それぞれの皿の上に戻り、フォークでくるくる巻かれ、あるいはお箸でちゅるりとすすられながら、彼らは思う。
まさか、生まれてきた子が長崎ちゃんぽんだったとは、予想外過ぎた。
どちらも親権を放棄したまま戻ってきてしまったが、あの子はどうしているだろうか。
一方、当の長崎ちゃんぽんは何食わぬ顔で大阪で食べられていた。
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