マト郎シカ

 一郎の体を割ると二郎が出てくる。

 二郎の体を割ると三郎が現れ、三郎の中には四郎が……といった風にどんどん出てくる。

 中にいる人ほど小さく幼くなっていく。

 ただ、十郎より先には会えない。三歳児くらいの九郎が「まだねてる」と口に人差し指を当てて止めるのだ。

 こうして、いつも苦労は徒労に終わる。

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