ボーナストラック


 高名な音楽家が唯一世に出していない曲があった。

 誰もがその曲の発表を望んだが、彼は頑なにそれを拒んだ。

 月日が経ち、未発表の曲が次第に都市伝説へと風化していった頃。

 病に冒され、死期を悟った彼は病床でその楽譜を弟子の手に託す。

 驚く弟子に彼は言った。


「弾いてくれないか。私のエンディングテーマだ」

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