一定以上の知性とは?

 今回はカクヨムに直接関係がある訳ではないのですが、表現の自由に関するものなのでこちらに書いてみようかと思います。テーマは『一定以上の知性』。そう、先日ツイッターで大きな話題になったキーワードです。


 4月21日(※執筆時)に、ツイッターのトレンドを賑わしたキーワードに『一定上の知性』と言うのがありました。その元を辿ると、タレントの裕木奈江氏のつぶやきが発生源のようです。

 ご存知でない方もいらっしゃると思うので、そのつぶやきを抜粋しますね。


 ちなみに私は色々と30年間経験した後に、「現実社会で違法とされている事はエンタメでも基本表現を制限・禁止するべき」と思っています。


 自由な娯楽を嗜むには一定以上の知性が必要で、そうでない人には自制が難しく作品に影響され自分勝手で感情的な行動をとりやすくなってしまう。


 このつぶやきが広義の表現規制だと捉えられて炎上してしまった訳です。ちなみに、騒ぎになってしまったからか現在このつぶやきは削除されています。


 このつぶやきは単独のものではなく、それより前のつぶやきから続いていた結論の部分なんです。最初はゾーニングの話でした。日本はゾーニングがダメダメだと言うところから話が始まっていたんです。

 出来れば全体のつぶやきから語りたかったのですけど、保存していたのが話題になったつぶやきだけだったので、ザッとした紹介になってしまいました。保存した当初はまさかつぶやきが削除されるとは思っていなかったので。


 この『一定以上の知性』については、裕木氏がかつて不倫をした女性を演じた時にバッシングがひどかった事も影響しているとも言われています。俳優としてはそれだけ迫真の演技をしていたと言う事にもなるのですが、そこで現実とフィクションの線引が出来ない人の多さに参ってしまったのでしょうね。

 こう言う、悪役を演じた人が嫌われると言うのは昔からよくある話ではあります。


 ただ、一連のつぶやきの最初のゾーニング云々と言うのは『日本は』となっていた訳なんですよね。こう言う内容のつぶやきの場合、海外だとそこを上手く分けていると言うのが前提だと思うじゃないですか。

 けれど、このつぶやきのスレッドの中で海外の例を言及しているものはありませんでした。日本の例だけで話が完結しております。どうして……。


 で、30年生きてきた結論の『一定以上の知性』の理解に話を進めますが、彼女のバッシングの歴史を考えれば『一定上の知性』の基準は『現実とフィクションを分けて考えられる人』と言う事になるのでしょう。そう言うふうに言い換えれば、確かに現実とフィクションを混同してしまう人に違法な事を肯定するような内容の作品を見せるのは、場合によっては毒にも成り得ますよね。


 ただ、この発言の真意がフィクションを知性のない人に見せると犯罪者が出るから見せるべきはないと言う意味なのか、知性のない人にフィクションを見せると悪役を演じた演者がバッシングされるから見せるべきではないなのか、どちらなのかがはっきりしません。どちらにも取れます。


 社会正義的な意味ならば、フィクションだけを封じてもどこかで『悪』を知る事になるので、効果は限定的なものになるでしょう。そう考えると、やはり演者を守りたいと言う趣旨のつぶやきなのかも知れません。本人の経験を反映させていると言うのであればなおさら。

 まぁ、これは私の勝手な考察なのですけどね。


 後、フィクションを犯罪の動機にさせたくないと言う思いがあったと言う可能性も考えられます。彼女の言う知性のない人が創作物を見て犯罪を犯した事例が発生したら、その作品はいわくつきの作品となって封印されてしまうかも知れませんからね。


 と言う訳で、彼女は言葉の選び方を間違ったのではないかなと思います。敢えて誤解を招く表現を使った可能性もありますけど、それならつぶやきは削除しなかった事でしょう。本当、言葉はしっかり選ばないといけませんよね。


 とは言えです、実際のところ、フィクションと現実を混同する人から違法表現を遠ざける事は出来ないでしょう。それが出来たらいいなって理想の世界の話です。混同する人がいたから、木村花さん事件も起きてしまった。これからもそう言う悲しい事件が発生しないとは言い切れません。

 そして、そう言う人達に向けてエンタメだけを規制したところで、悲しい事件が止められる訳でもないのです。ひとつのネットデマからでも冤罪が発生するのですから。


 このつぶやきも、もっと誤解のない表現にすれば気持ちは分かるよって反応が並んでそれで終わっていた事でしょう。表現を強くしたためにそうはならなかった。そして真意も正しく伝わらなかったのではないかと思います。全ての違法表現を基本禁止すべしって、基準がガバガバですもの。この基準に従えば、エンタメがほのぼの日常系のものしか生き残らないですよ。

 言いたい事があっても、勢いに任せずにしっかり言葉を吟味していきたいものですね。


 あ、個人的な意見で言えば、表現規制には反対ですよ。規制が進んだ結果の悪い事例も歴史が証明していますしね。

 現実とフィクションを混同してしまう問題に対しては、大人になって何かやらかしたら責任を取るからそれでいいかなと言う気がします。他の基準を出すと、後で色々とややこしい事にもなりかねませんしね。


 それと、この発言もまた表現の自由なので主張は守られるべきだと思います。過激な意見だから許されないとか、それもまた違いますよね。そう言う考えの人もいるんだな~で流していけばいいんじゃないかな。

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