浄化について

 よく退魔モノの物語で邪霊を浄化する描写があるじゃないですか。ああ言うのを見ていてよく思うんですけどアレじゃあ本当の意味で浄化は出来ていないんじゃないかなあと思うんですよ。

 謎の光の攻撃で邪霊をぶち殺しているだけって描写が多いじゃないですか。浄化って言葉のイメージから言うと邪霊が救われてあるべき場所に自分で向かう感じがするんだよね。救われていないでしょう、大抵の物語の浄化のイメージって。


 しっかり浄化のイメージを描いている作品もありますよ。例えばアニメ帝都物語の最終話の浄化のシーンとか。あれはちゃんと加藤が救われてますよね。知らない人も多いと思う例を出してごめんなさい。


 さて、浄化と言うか、浄霊と除霊って多くの人は同じもののように思われているかと思うのですが、これって別物なんですよね。

 多くの物語で描写されているのが除霊で霊を強引に追い返すもの。浄霊は霊自身にその行為を自覚してもらって納得の上で退散してもらうもの。


 つまり「うおお~やめてくれぇ~!」って嫌がりながら光に包まれて消えていくのは浄化とは言えないと私は思うんですよ。

 逆に「有難う」って感謝の言葉を述べて笑顔で消えていく描写ならそれは浄化って言えると思います(※個人の感想です)。


 そう、霊に対する愛と労りの表現が浄化に必要なんです。そう言う描写のない浄化表現を見るたびに違和感を感じます。浄化と言う言葉を使うならそう言う描写を是非入れて欲しいですね。


 気合を入れて発した謎の光で邪霊を力任せに焼き尽くす除霊表現の方が分かりやすくはありますけどね。

 実際の殺し合いのメタファーとしての霊戦記は何かモヤモヤします。フィクションとして楽しめばいいだけなんですけどね。


 そう言えば念仏で霊が苦しむのも霊が仏法に通じてこそなので、無学な邪霊には念仏は効かないはずなんです。馬の耳に念仏ですよね。そこまでこだわった作品……もあるんだろうね。私が知らないだけで。

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