第12話
ウァンデは、大槍を横薙ぎに払った。巨大な穂先が風を切る。次の瞬間、視界からシアタカが消えた。
下か!!
気付いた時にはすでに遅い。身を低くして槍をかわしたシアタカは、そのまま身を転じながら刀を振るう。
激しい衝撃が右足を打ち、ウァンデの体は大きく宙に泳いだ。咄嗟に槍の柄を下に向ける。槍を支えにしたために地に倒れ伏すことはなかったが、完全に姿勢は崩れている。追撃を覚悟するが、顔を上げた時にはすでにシアタカはこちらに背を向けていた。
ウァンデが苦痛の呻きを噛み殺しながら立ち上がった。シアタカの一撃を受けて、右足を切り払われたと覚悟したのだが、足はまだついている。骨にひびは入ったかもしれないが、切り裂かれてはいなかった。
宿の入り口へと走る黒装束が、何かを背中に担いでいた。ウァンデはそれがアシャンだと気付く。
「待て!!」
ウァンデは叫ぶと駆ける。右足に激痛がはしるが、構って入られない。気付けば、キシュたちも横に並び走っている。本気で走るキシュは速い。キシュガナンの戦士たちも追いつけないほどだ。
一人の黒装束がウァンデたちの前に立つと、懐から何かを取り出した。向かってくるウァンデとキシュたちの前にそれを放る。月光の下で見えたのは素焼きの壷に似た小さな陶器。それが三つ、地面に落下すると、砕けた。破片とともに、液体が撒き散らされる。鼻を突き、目に染みるような刺激臭が一気に広がった。同時に、黒装束は頭巾をおろすと顔を露にする。肌の色は、およそ色というものが混じっていないように見える白だった。その異様な風貌に、ウァンデは驚く。
その白い肌の男は、何かを呟いた。そして、指を複雑な形に組むと、口に当てる。指を離した瞬間、口から火を噴き出した。ウァンデは思わずたたらを踏む。その火の帯が伸びたと思った刹那、激しい熱が肌を焼いた。
眼前には巨大な炎の壁が生まれていた。キシュたちが、前足を上げて上体を反り上げている。これは、キシュが混乱や恐慌をきたした時の動きだ。ウァンデは、直感的に撒き散らされた液体に引火したのだと理解した。しかし、この凄まじい火勢は異様だ。中庭の広い範囲に燃え上がる炎は、異様な匂いと黒煙を撒き散らしている。
ウァンデは一瞬の躊躇の後、大きく息を吸い込んだ。外套で顔を覆うと、炎の壁に飛び込む。剥き出しの肌を襲う痛み。転がるようにして炎の壁を通り抜けると、槍を支えにして踏みとどまった。
視界の先にシアタカや黒装束の男たち、そしてアシャンの姿はない。
「糞っ!!」
ウァンデは唸ると宿の外に出た。片足で跳ねるようにして宿の周辺を歩くが、シアタカたちの後姿は見えなかった。激しい焦燥感がウァンデを苛む。落ち着けと心の中で何度も呟きながら、宿に戻った。
中庭に突如出現した炎の壁に、宿の者たちは混乱し、右往左往している。消火するために水をかけた者もいるが、それによって逆に火勢が増してしまい、混乱を助長していた。
「ウァンデ!ウァンデ!」
戦士たちが自分を呼んでいることに気付き、ウァンデは炎の壁を回りこんで仲間たちの元に戻った。
「ウァンデ、無事か?」
カナムーンが歩み寄る。後ろに戦士たちが続いた。
「俺は大丈夫だ。それよりもアシャンが
「アシャンが?」
戦士が驚きの声をあげた。
「ああ、そうだ」
「なぜアシャンを?」
「分からん。一体、奴らは何者なんだ……」
ウァンデは呻くように言う。
「キシュは何か分からないのか。ラハシとキシュの間には特別な繋がりがあると聞いている」
カナムーンはウァンデに問いかけた。
「分かるかもしれないが、それを俺達は理解できない。キシュの真意を知ることは、ラハシにしかできないからな」
「だからアシャンが狙われたのか」
カナムーンの言葉に、ウァンデは思わず聞く。
「何だと?ラハシだからということか?」
「ラハシを攫ってどうする」
キセの男達も同様に困惑した様子だった。カナムーンは喉から低音を発しながら答えた。
「彼らはおそらく、ウル・ヤークスに属しているのだろう」
「ウル・ヤークスだと?」
「シアタカと共に動いていたことがその証拠だ」
「ウル・ヤークスがどうしてラハシを必要とするんだ?」
「キセの一族との交易を独占するための人質。これは考えにくい。カラデアを征服すれば沙海の交易を支配できるのだから、キセの一族はウル・ヤークスと取引せざるを得ない。わざわざラハシを攫う必要はない。それよりも、ウル・ヤークスはラハシを支配することで、キシュを支配できると考えているのかもしれない。アシャンを調べてラハシの秘密を探ろうとしているとも考えられる」
カナムーンは、そう言って一同を見渡す。ウァンデが怒りの声を上げた。
「ラハシはあくまでキシュガナンとの仲介役であり、子供だ。ラハシがキシュを支配できるわけが無い」
「
カナムーンは冷静な言葉で指摘する。戦士や男達はカナムーンを睨みつけた。異様な声色と感情のこもっていないその言葉に、苛立ちを覚えたのだろう。男達が一斉に怒りの声を上げる。
「シアタカも裏切った。所詮、奴はウル・ヤークスの人間ということか」
「あの呪われた戦士め!戦士の礼に裏切りで報いるとは」
「やはり、客人として迎え入れるべきではなかったな」
男は、ウァンデに非難の視線を向けた。
「シアタカは確かに裏切り者だが、少しぐらいは恩を知っているようだ」
戦士の一人が、静かな口調で言う。
「どういうことだ?」
「シアタカと戦った者達は、死んでいない。刀で切るのではなく、打つだけですませたようだな」
戦士は、頭や首筋を押さえて呻いている者たちを指し示した。
「確かに、俺の足もまだ生えている」
ウァンデは、痛む足を擦った。おそらく、シアタカは刀の刃ではなく峰で打ったのだろう。そこに、シアタカの罪悪感と良心を感じ取った。シアタカに裏切られたが、未だ憎みきれていない自分がいる。
彼らの間に割り込むように、キシュが一体、進み出た。ウァンデの前で大顎がキチキチと音を発する。ウァンデは目を見開いた。
「どうした」
カナムーンがウァンデに顔を向けた。
「出発の合図だ。だが、この場合、群れの全てが動いていない。この一体だけだ」
「それはどういう意味を持つ」
「キシュがアシャンを助けるように促しているんだろう。もしかしたら、アシャンの跡を辿れるということかもしれない……」
ウァンデが答え終わる前に、キシュが動き始めた。
「やはり!」
ウァンデは唸り声をあげながら後に続く。
「よせ、肩と足の傷が悪化するぞ」
戦士の一人が止めた。
「大した傷じゃない」
ウァンデは苛立たしげにその腕を払う。だが、すぐによろめいた。舌打ちすると、上衣を切り裂いて肩の付け根を強く縛る。
「これで血は止まる」
「無茶だ。肩を貸そう」
カナムーンがウァンデを支えた。
「すまん」
ウァンデは小さく頷くとカナムーンと肩を組む。自分よりも大きな体格に体重を預けると、痛みもやわらぐような気がした。
「俺達二人で行く。怪我人を診てやってくれ」
ウァンデが振り返ると一同を見回す。
「大丈夫か?」
戦士の問いに、ウァンデは頷いた。
「戻らなければ、皆はキセの塚に帰れ」
「何を言う。その身体で何をするつもりだ」
「アシャンを救い出すなら、皆で行くべきだ」
戦士たちの言葉を、ウァンデは手で遮る。
「皆で行き、帰ることができなければどうする。アシャン一人の為に交易の成果を台無しにするつもりか?いいか、俺が帰らなければ、その時には、キセの塚に帰れ。そして、故郷の皆、いや、キシュガナン全てに知らせろ。ウル・ヤークスという化け物が、キシュガナンを狙っていると」
戦士たちは黙り込んだ。
「大丈夫だ。万一のことを話してるだけだ。すぐに戻ってくる」
ウァンデは笑みを浮かべるとカナムーンに顔を向ける。
「すまんが、少し付き合ってくれるか?」
「勿論だ。同盟のために、アシャンとウァンデの助力は不可欠だ」
カナムーンは喉を膨らませて鳴く。
キシュたちは再び顎を鳴らすと、歩き始めた。
「キシュが急かしてる。行くぞ」
ウァンデは言うと、二人はキシュの後を追った。
カラデアの路地は、泥や日干し煉瓦で建てられた家々が密集しているために、まるで迷路のようになっている。初めて訪れた者は、必ず迷ってしまうだろう。ましてや、今は夜だ。月明かりによって生み出された影と影とが折り重なりあい、その闇は一層深さを増している。
三体のキシュは、時に後に続く二人を待ちながら、先導して路地を迷う様子も無く進んでいく。キシュを見失わないように目を凝らしながら、二人は歩いた。
キシュの歩みは町外れに向かう。やがて、城壁が見えてきた。
城門は、騒ぎになっていた。何人ものカラデア兵が地に倒れ伏している。カナムーンはカラデア兵の一人と言葉をかわした。そして、ウァンデの元に戻る。
「どうやら街からは出てしまったようだ」
カナムーンの言葉に、ウァンデは眉根を寄せる。
「奴ら、早いな」
「北門は一番警備が手薄だ。シアタカやあの男達に街の内側から不意を打たれてしまえば、一溜まりもない」
「それだけこの街を調べていたということか……」
「おそらく、そうだろう。彼らは駱駝と恐鳥に乗ってカラデアを出たようだ」
「くそっ、早く行かないと」
「冷静になれウァンデ。キシュはともかく、我々は徒歩だ。追いつくことはできない」
ウァンデは大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。
「ああ、そうだな。……すまん」
焦りは戦士の勘を鈍らせる。肝に銘じていたはずだったが、心を平静に保つことが難しい。ウァンデは己に苛立ちを覚えて頭を軽く振る。
「キシュを待たせることはできるかね」
「できる」
ウァンデは頷くと、手を大きく上下した。そして、腰の袋から少量の香草を撒く。戦や狩りの時にキシュに意思を伝えるための合図だ。ラハシでない者も、身振りと数種の香草を使って、キシュに簡単な意思を伝えることができる。キシュは触覚を小さく動かすと、ウァンデの傍らでまるで凍りついたように動きを止めた。
「俺たちもカラデアを出るということか?」
「追跡を続けるならば、そうなるだろう。彼らは緑地と岩山を抜けて、沙海に出るはずだ。それを追って沙海を渡るために、水と食料を用意する必要がある。おそらく、彼らは仲間の元に向かっているはずだ。ウル・ヤークス軍の元に」
「デソエか……」
「そうだ」
カナムーンは喉を鳴らした。
ウァンデは城門から見える月明かりに照らされた大地を見た。アシャンやシアタカたちの姿を見出すことは出来ない。強く槍の柄を握り締めた。肩と足が痛む。だが、構ってなどいられなかった。
灼熱の太陽と大地は、容赦なく身体を焦がそうとする。駱駝の背で揺られるのはひどく不快で、耐えられそうにも無かった。
アシャンは吐き気を堪えると、目を閉じてうつむいた。この駱駝という獣は、ひどく不潔で、騒がしい。匂いも強く、それが不快さの原因の一つとなっていた。
夜明けまで疾走していた駱駝も、今はゆっくりとした歩みとなっている。
アシャンは顔を上げると、僅かに顔を左右に振った。見たくもないものが視界に入ってくる。前と左右にも駱駝が並んで進んでいる。背後にも居る。それぞれの駱駝に、アシャンをかどわかした男達が跨っていた。そして、右手の駱駝に、シアタカが跨っている。少し離れた後ろから、恐鳥に跨ったウィトと、ラゴが続いていた。
アシャンの心の中には、疑問と怒りが渦巻いていた。なぜ裏切ったのか。どこへ連れて行こうというのか。しかし、シアタカは一度もアシャンに話しかけてはこず、顔を向けようともしない。
アシャンは腕を縛っている縄を忌々しく思った。もっとも、これが解けたとしても、何が出来るというものでもない。アシャンは駱駝を操れないし、ましてや、一族の戦士を翻弄するような男達から逃げおおせるはずが無い。
心の中を探ってみるが、キシュとの繋がりはごく小さなものしか感じ取れない。キシュとの繋がりは距離によって途切れることはないが、こう離れてしまっては身近に感じることができない。心の鍛錬を積んだラハシならば、どんなに離れていてもキシュを近くに感じることができるという。だが、アシャンにそこまでの力は無い。よりキシュに近付かなければならないだろう。
「シアタカ」
アシャンは鋭い声で呼んだ。シアタカは、それに答えない。視線を沙海の彼方に向けたままだ。
「シアタカ!!」
今度は、叫んだ、
シアタカはぎこちない動きでアシャンに顔を向けた。
「何だ?」
「とぼけないでよ。どうして、こんなことをするの?」
アシャンの問いに、シアタカは無言だった。
「答えてよ!!」
苛立ちは、半ば悲鳴となって飛び出す。シアタカへの苛立ちだけではない。己への苛立ちもあった。シアタカを信頼していた、己への苛立ち。
「聖女王への忠誠を示すためだ」
シアタカは短く答えた。
「何が忠誠だ!戦士の礼を裏切った卑怯者の癖に!」
「聖女王に仕える紅旗衣の騎士は、異教徒に示す礼儀などもってはいないのです」
左の駱駝に跨った男が言った。アシャンは頭をめぐらせると、その男を睨みつけた。
「聖女王が何だ!騎士が何だ!お前も顔を見せろ!卑怯者!」
アシャンの叫びは金切り声に近くなっていた。
男は、おもむろに外套の頭巾を下ろす。同時に、先頭を進む駱駝に跨った男も振り向き、頭巾を下ろした。血の気のない真っ白い肌をもち、異様なまでに小さい瞳孔の目を持った顔を見せる。そして、二人は、全く同じ顔をしていた。
「「「我々はシューカ。あなたには、しばらくの間、付き合ってもらうことになります」」」
二人は同時に言った。いや、二人ではない。背後からも全く同じ声で、同じ言葉が聞こえてきた。三方から全く同じ声が同時に放たれ、それは奇妙な音の調和を生み出す。
アシャンが振り返ると、そこにも全く同じ顔があった。
「み、三つ子、なの?」
しかし、それは違うと勘が告げている。
「似たようなものです」
答えるシューカの表情は微動だにしない。三つ子でも、それぞれ名前は違うものだ。冗談を言ってるようにも見えない。おそらく、何か禍々しい呪いで生み出された存在なのだ、彼らが宿に現れた時にキシュが感じた感覚が、それを確信させる。
「アシャン、君をヴァウラ将軍の元まで連れて行く」
シアタカが、おもむろに口を開いた。
「ヴァウラ将軍?シアタカの、恩人という人」
「そうだ。ウル・ヤークスの第三軍、ギェナ・ヴァン・ワを率いている。アシャンには、将軍に会ってもらう」
「将軍に会う?どうして?」
「キシュガナンに大いなる繁栄、秩序をもたらすためです」
シューカが答える。
「どういう意味?」
「詳しい話は、将軍閣下が話されるでしょう。我々が話すことはありません」
シューカはにべもない。愛想が無い男といってしまえばそれまでだが、それ以上にこの無表情さには薄ら寒さを覚えた。同じ無表情でもシアタカには揺らぎがある。何より、このシューカという男からは、心の動きというものがほとんど感じ取れなかった。
アシャンは、シューカの言葉を頭の中で反芻していた。彼の言っていることは、つまりは、ウル・ヤークスがキシュガナンを支配するということだろう。やはり、カナムーンやウァンデと話していた通りの事が起ころうとしているのだ。
だが、理解できないのは、なぜ自分を攫ったのか、ということだ。自分のような小娘一人をわざわざ攫って、しかも将軍に会わせるという。なぜそんな手間をかけるのだろうか。自分がラハシだからか?だが、ラハシを攫ってどうするのか。キシュと話すための通訳にでもする気なのだろうか。
「アシャン」
うつむき、考え込んでいたアシャンは、シアタカの声に顔を上げた。
「何?」
ことさら刺々しい声で答える。手を出せない以上、言葉で戦うしかない。
「すまない、と思っている。キセの一族への恩は、忘れていない。俺のしていることは、確かに騎士にあるまじき卑怯なことだ。だが、聖女王の命は絶対なんだ。騎士としての誇りを捨てても、聖女王への忠誠を捨てるわけにはいかない」
「それは、謝っているつもりなのかな」
アシャンは皮肉を込めて、口の端をゆがめた。
「謝っている……、つもりだ」
シアタカは、うつむいた。
「シアタカは、私を、愚かな小娘だと思ってる。何も知らずに隊商頭にされた、ば、馬鹿な女だと。でも、私、私だって、少しぐらいは世の中を見通せる。分かってるんだよ。ウル・ヤークスは、キシュガナンの地を、奪うつもりなんだ。デソエのように、カラデアのように」
アシャンは、ありったけの怒りと憎しみを込めて喋るように務めた。言葉と声が、戦士の持つ大槍のように刃になるようにと願って。それがシアタカの心に突き刺さるようにと願って。
「ウル・ヤークスにとって、キシュガナンの民なんて、か、家畜と一緒なんだよ。愚かで、誰かに飼われていないと、ろくに、ろくに生きていけない。そう思ってる。そうなんでしょう?」
シアタカはうつむいたままだ。アシャンは、涙がにじんでくるのを感じた。
「その通りです」
シューカが答えた。
「聖女王の秩序を知らない異教徒は、皆、愚かな家畜と一緒です。教え、導かなければ、いつまでも争い、殺しあう」
アシャンは、その考えに衝撃を受けた。ウル・ヤークスの人々は、自分達が世界の主人と思っている。こんな考えの人ばかりなら、ウル・ヤークスはいつまでたっても戦をやめないだろう。
「お前らだって、戦をしてるじゃないか!!はるばる、沙海まで来て、戦をしてる。大勢の人が死ぬんだ。大勢の人が」
「世界に聖女王と教会の法を広め、秩序をもたらすためなら、仕方のない犠牲です。無智なる者に教えを授けるためには、時に痛みを持って身体に教えなければならない。『汝よ、鞭を持て。主を持たぬ野犬を従えなければならない。野犬は汝に牙をむく。己を主と思っているがゆえに。鞭の音は野犬に主の力を知らしめる』」
シューカは、何ら揺らぎの無い口調で言い放った。
この人達とは、立っている場所があまりにも違う。アシャンな絶望的な気分になった。ウル・ヤークスとキシュガナンの間には、あまりにも深い溝がある。それは、キシュとキシュガナンの間にある溝よりも、はるかに広く、深いもののように思えた。
強烈な絶望と孤独感に襲われて、アシャンはキシュの心を探した。だが、それは暗闇の中の残り火のように、頼りないものだった。
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