前のエピソード――波よ聞いてくれ

　この作品はトリガー制作のオリジナルアニメ作品です。考えてみたらトリガーってオリジナルアニメばかり作ってますよね。原作付きの作品ってグリッドマンとニンジャスレイヤーくらいでしょうか。グリッドマンは名作でしたけど、ニンジャスレイヤーはかなりとんがってましたよね（汗）。

　で、ＢＮＡなんですけど、獣人が出てくる、獣人社会が舞台の作品です。獣人の出てくる話と言えば、似たようなのにズートピアだとかビースターズとかありましたよね。あれは擬人化した獣達の話ですが。

　今作がそれらの作品と違うところは、人間社会の中に獣人がいるところです。そう、人間と共存しているんですよ。しかも獣人は人間に変身する事も出来る。そう言う世界観です。

　普段は人間体で、必要に応じて獣の能力を得た獣人体になれる。しかも獣人は人間から迫害されている。似たスタイルの話がありましたよね。そう、デビルマン。流石に獣人はデビルマンのデーモンほど桁違いの能力は持っていませんけど、この作品の元ネタのひとつになってるのかも知れないような気がしないでもないです。少なくとも、意識はしていそうですよね。

　この作品の舞台なのですけど、こう言う作風の話って普通は架空の世界だったりするじゃないですか。でも違うんです。日本です。パラレルな日本。年号も令和です。流石に舞台のアニマシティは架空の島ですけどね。この島が日本のどこら辺にある設定なのかは明言されておりません。設定はされているのかもですけどね。

　物語が始まった当初は市長が怪しいと思っていたのですけど、もっと怪しいのが出てきて、ラスボスはそっちなのかなって感じで見ています。更にどんでん返しもあるかも知れませんけど。どちらにせよ、物語を引っ掻き回すのはシルヴァスタ製薬のアランなのでしょうな。

　主人公は元は人間だったのに獣人になってしまった少女、みちる。元は人間だったデビルマンの不動明との共通点がここにもありますな。って言うか、元は人間って、この手の話のテンプレとも言えますけどね。ゾンビランドサガでも元は人間だった主人公のさくらが車に撥ねられるところから話は始まりますし。

　みちるが獣人になったのは交通事故で運ばれた病院でシルヴァスタ製薬の実験に利用された――のではないかと考察しています。まだ執筆時はアニメの途中なので明らかにはなっていないんですよね。ネトフリの人はラストまで見られるので真相を知っているのだろうなぁ。

　問題は、何故獣人になる研究をしていたのかってところですが、人間より優れているのが獣人ですので、やっぱり軍事とかそう言うところが絡んでいるのかな？　って思ってしまいます。お約束ですナ。

　みちるの親友で同じ事故に遭って同じ手術を受けたなずなもまた獣人になっています。彼女の方が成功率は高いみたいなんですよね。なので、完全な変身が出来ます。あらゆる部分でみちるとの対比になっているんですよね。みちるが狸でなずなが狐だし。体の部位が他の獣になれるみちるに対して、完全な獣に変身出来たり背中から羽を生やしたり出来るなずな。

　言ってみれば、みちるはなずなの下位互換ぽい感じです。今（７話時点）のところは。

　と、ストーリーの縦軸はみちるとなずなの物語なのですけど、横軸の獣人達の日常もまた結構ハードだったり、そのハードな中で獣人達がしたたかに生きていたりとバラエティに富んでおります。特に野球回のふざけ具合が好きだなぁ。まさにトリガーっぽくて。

　いつも濃いトリガー作品ですけど、１クール作品なのでその濃さが尋常ではありません。濃厚こってりスープを毎回ゴクゴク言いながら飲んでおります。私は好きですね。面白いですもん。ただ、ネットの反応はちょっと薄いのかな？　アニメ感想サイトのコメント数、そこまで伸びてないですし。不思議。

　と言う訳で、獣人の物語が好きな人やトリガー作品が好きな人にオススメです。一度見始めたら最後まで目が離せませんよっ！