社長、バトルの時間です!

 この作品はスマホのゲームを原作とした作品です。絵柄が有名漫画家さんに似ていると思ったら、やはり大きく噛んでいたようですね。それなのにスタッフに名前が出ていないのでネットでは色んな話が流れております。私が目にしたのは、アニメがコケた時にダメージを受けたくないので名前を出さないのだとか……真実なのかそうでないのか、私には分かりません。


 何故本当は深く関わっているのにそんなに臆病になっているのかと言えば、同じパターンのけものフレンズで大きな騒ぎになってしまったからと言う説が濃厚です。あれはたつき監督がアニメを大ヒットに導いてしまったが故の悲劇ですよね。


 で、この作品が第二のけもフレになるかどうかが少しだけ注目されていたのですが、その心配は杞憂に終わったと言っていいでしょう。シャチバト、あんまり面白くないんですもん。この面白くなさがどこまで監督の力量なのか、外圧なのかは分かりません。多分、特に話題になる事もなく、放送が終わったら忘れ去られるのではないでしょうか。漫画家さんとしてはその展開が望みだったのかも知れません。

 ――って、流石にそれはないか。ヒットした方が嬉しいに決まってますものね。


 この作品で私が感心したのはキャラの瞳の表現です。凝ってますよね。それ以外に褒める所は……申し訳ないけど、見つからないなぁ(汗)。


 この作品のキモは、タイトルの通りに社長がバトルをすると言うものです。なので、会社経営の手続き等が物語に無駄に関わってきてテンポが悪くなります。しかもリアルっぽく見せているだけで、全然リアルじゃなかったりします。なんちゃって社長業ですかな。他の作品との差別化を図ろうと考えて事業系ワードを出してみました、的な。

 しかもこのテンポ、物語の流れだけじゃないんです。キャラクター同士の会話もテンポが悪い。ゲームで使われる会話パターンのまま台詞にしたんじゃないかって思うくらいグダグダなんですよ。頻繁にオウム返しもしますしね。


 あと、社長業関係以外の話の流れや演出も今ひとつなんです。簡単に言うと、リアルさが足りない。物語の運びが全てが段取りに見えます。分かり易すぎるんですよね。まるで子供向け作品のようです。今の子供向けってデジモンアドベンチャーみたいにテンポも早いし大人が見ても退屈しませんよね。それがこのシャチバトにはありません。何だかなぁ。


 多分、元となるゲームを忠実にアニメにし過ぎなんじゃないかなと思うんですよね、これ。ゲームだとこの展開でも楽しめるかも知れません。けどそれをアニメにするならアニメ用に構成し直さないと。今までにもゲームを題材にした作品は山のように作られましたけど、この作品はそれらから学ぶ事を許されなかった作品なのかも。


 この作品のアレなところをひとつあげると、とある目的のために多くのチームが一斉に頑張るんですけど、主人公のチームとライバルチームとトップチームの1人以外物語に全く関わってきません。トップチームのキャラは主人公とライバルチームがボスキャラと戦う前に、先にお宝をゲットしたってだけで、絡みはほんのちょっとだけ。

 他のライバルチームはバトルイベントが始まる前に顔見せしただけで、それからはもう全く出て来ません。何だこれ。


 社長がバトルと言いつつ、社長は戦士じゃないので部下に指示するだけ。メインで戦う戦士は女子1人だけ。後で女子の魔法使いが仲間に加わりますけど……。色々いびつなんですよ。バトルシーンも緊張感ないですしね。

 今のところ特にすごい才能を見せている訳でもないのに、周りから変に大物に見られている所はちょっとラノベの異世界転生モノの主人公っぽいかも。勿論褒め言葉ではないです(汗)。


 と、そんな感じで、シャチバトは背景に色々な思惑が見えてしまう残念な作品です。例えるなら、上手く行った前作の存在しないけもフレ2みたいな? 上層部以外の関わっているスタッフはきっと何も悪くないんですよっ。上に気兼ねする事なく自由に作れる環境が用意されていたならもっといい作品になっただろうに……残念だなぁ。と、勝手に想像したりしています(汗)。

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