プラネット・ウィズ

 と言う訳で2018年夏アニメの紹介の最後を飾るのはシナリオの熱血具合が最高のこの作品です。謎の詰まった作品は数あれど、ここまで意味不明に始まった作品はなかったのではないかと言うほどこの作品の一話は謎だらけでしたね。


 謎も多いものの、その謎が回を重ねる毎に解き明かされ、その度に新しい伏線も提示されて、毎週楽しみな作品でした。適度な謎はその作品への興味を引きつける良いスパイスになります。一体これはどう言う事? と思わせるのがうまいんですよこの作品。

 この戦略に私も見事にハマってしまいました。ある意味ずるいです、ええ。


 物語の展開自体は熱血少年の成長物語と言う王道なのに、何もかも分からない状態で始まるので主人公の気持ちと視聴者の気持ちがシンクロするんですよね。謎の敵が襲ってくると言うパターンはエヴァで有名になって色んな作品で採用されていますけど、まだ新しい切り口があったのだなあと感心しました。


 テンポが良いのもこの作品が面白い理由のひとつです。30分があっと言う間。間延びするシーンがなく、全てが無駄なく必要なシーンのみで構成されているんですね。緊張感のあるシーンとそうでないシーンとのバランスも見事で、安心していると突然ピンチになったり。シリアスなようでネタも多く、そこに突っ込みながら見ていると楽しいと言う作品でもありました。


 そうして一番の売りは熱い戦闘シーンでしょう。戦闘はすべてCGで描かれるのですけど、ヌルヌル動くキャラの動き、時にしっかり重さを感じ、動きに説得力があります。決して一方的に優勢なのではなく、適度に負けそうになりながら、それでも最後に気合で勝利を勝ち取る見せ方も流石でした。


 戦闘と言えば、中盤までの封印装置による精神攻撃も中々にエグくて良かったですね。説教臭くならずに、それでいて大事な事をしっかり伝えてくれると言うか。このシーンは創作を趣味にしている人には参考になる部分が多かったのではないでしょうか。


 出てくるのが愛の進化種族と言う事で、スピリチュアル的にも見るべき部分が多かったですね。リエル星人は肉を食べないって設定にもすごく納得がいきましたし。ネビュラの描写は地球人の霊的進化を見守る宇宙連合を思わせます。


 設定がしっかり作り込まれているので、単純に楽しんでもいいし、深く考察出来るのもいいですよね。ベースがSFなのもその筋の人にはたまらない要素だと思います。よく見ると分かるような細かい小ネタも多いですし。

 主人公達はすごい事をしているんですけれど、基本的には大袈裟な感じになっていなくて、のほほんとした日常の中で物語が展開するのどかなところも好きですねぇ。


 この作品、キャラもすごく魅力的なんですよ。悪い人が出てきません。最後に倒すべき竜も極悪人の設定ではないのです。進化を拒否して悪を倒す事にこだわってしまっただけなんです。


 竜の正体が分かったところでこの作品のテーマのひとつが判明します。それは兄弟愛。そう、これは主人公の宗矢が愛を知る物語だったのです。愛に溢れたこの作品は視聴者も愛について考え直せるいい作品になったのではないかと思います。最終回が済んでないので(※執筆時)そう言い切るのはまだ早いのかもですが。

 ただし、ここまで来たら絶対感動的な大団円になる事は間違いなしでしょう。この熱く壮大な物語を最後まで熱く見届けたいと思います。

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