響~小説家になる方法~

 この漫画は天才的な文才を持つ女子高生が主人公の話です。小説が趣味になるまではほーんと言う感じの印象だったのですが、今となってはすごく興味深く読み進められます。興味が湧いただけで印象が変わるって心境の変化って不思議ですね。


 物語の冒頭から出版不況のシーンから始まるんです。そこで主人公の書いた作品が編集部のゴミ箱に入っているのを新人の編集者が見つけます。その作品に興味を持った編集者が作品を読んでその才能に驚愕すると言う始まりです。


 カクヨムに投稿するような人には結構興味深く読めるのではないでしょうか。かなりの人がプロを目指していますものね。


 昔の文豪には個性の強い人が多かったらしいですが、この作品に出てくる小説家も大概が個性の塊です。主人公の響からして考え方が常識の範疇を超えています。ためらいなく思った事をすぐに行動に移すんです。これ、主人公の心理描写がなかったらちょっとついていけないかも。その心理描写があるから理解は出来るんですけどね。


 作品に出てくる小説家達の内情とか、フィクションにせよそうなんだろうなと思わせる説得力がありますし、能力的にはチートなのに性格に難あり過ぎの主人公の行動に対しての周りの振り回されっぷりが面白いと言うか何と言うか。


 まぁ、主人公の文才は純文学なんでラノベ作家を目指す人にはちょっと傾向は違うかも。作品内ではラノベにも言及はされてますけどね。

 でも小説で世界が変わるってテーマならやっぱ純文学になってしまいますよね。


 響の言葉は純粋で自分の思いに素直だから普通に相手の心をズタズタと引き裂きます。空気を読む事なんて面倒臭い事はしません。それだけある意味分かりやすいとも言えますけど。それと強情です。人の話を聞きません。


 売れなくなった作家に何でまだ小説書いているの?って普通に聞くんですよ。怖っ!

 他にも相手の言葉を素直に取り過ぎたり――殺すぞって言われたら本当に殺そうとしてると受け取って本気で反撃しようとしたり。自分が納得出来ないと何か言われてもその通りにしなかったり。失うものがないからか、ためらいなく行動するんです。結構暴力的なんですよね。読んでいるこっちがハラハラしますよ。


 作品には有名作家の娘やら、やっと新人賞を取れた新米小説家やら、過去に文芸の賞をとった作家やら、沢山の小説家が登場します。それと主人公が高校生なので部活としての文芸部の活動も同時に描写されています。部員達の素人の立場としての高校生小説家達との対比も面白いかも。そんな感じでそれぞれの立場の人の小説観も面白く読めるのではないかと思います。


 小説を読む人も小説を書く人も興味深く読めると思います。もし興味を抱いたらスペリオールのサイトで試し読みが出来るので読んでみてくださいね。作品名で検索するとすぐに見つかりますので。


 そう言えば私も高校の時は文芸愛好会に所属していたなぁ……(遠い目)。

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