いつもの二人

6.いつもの会話

 彼女はわたしとは別の学区だったから、ふたりが会うのは、もっぱら休日だった。

 わたしはとにかく暇さえあればお化けの出てくる本をいっぱい読んでいた。でも、そういうのは、舞ちゃんのお家では、ご法度、だったんだと思う。優しい彼女は、わたしにちゃんと合わせてくれた。

 ……でも、本当に楽しかった。

 片親がいない者同士、変な遠慮がいらなかったのもある。

 でもなによりも、お互いが全然違う性格なのに、共通の世界観を持てていることに興奮していたのだ。

 ボロボロの空き家の前を通るたびに、あの家には幽霊がいた、とはしゃぎまわったり、遠い場所で起こった不思議な事件をさも見てきたかのように喋りあったり。

 椅子に腰かけて、お互いの髪をかわりばんこで梳き合いながら、

「舞ちゃんの髪って、最近、ちょっと伸びたよね?」

「さつきと出会ってからね。もっと髪を伸ばすことにしたの。霊感パワーアップさせたいもん」

「え、なにそれ。こわーい!」

 って。

 わたし達はいつもそんなノリだった。

 そのうちに、わたしなんて

「実はわたし、予言だって出来るんだから!」

 と、そんなことまで言ってのけたし。

 とは言ってもせいぜい、今日の夕飯の献立とか、学校で当てられそうな問題だとかしょぼいことばかりだけれど。

「ちゃんと目に映るもん。映像がこう、浮かんでくるっていうのかなー?」

 ……。……まあ、それはご愛嬌。

 それに、実際の話、わたし達の周りには変なこともいっぱい起こるようになっていたのだ。

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