第201話:魔女っ子すぎる、ロボ戦。①
[星暦1554年10月12日。聖都アヴァロン。
トムの活躍がよほど効いたのか、第三
「凜、今回俺を「
「おや、なにか企んでるの?」
突然のトムの申し出に凜は思わず聞いてしまった。
「まあ、な。」
「
「あと、マーリンを「
「え?嫌です。」
凜が驚きの声を上げるより早く、めんどくさがりのマーリンが即答で断った。
しかし、凜は少し考えてからマーリンに言った。
「マーリン、たまには仕事しなよ。きっとトムになにかいいアイデアがあるんじゃないの?」
そう一蹴され、マーリンの
「もう、トム。私を厄介ごとに巻き込まないでくださいね。」
マーリンの不承不承な態度にトムは苦笑した。一方、リーナもマーリンの武器であるカドゥケウスを使ったことがないため、ぶっつけ本番の状態に、やや不安そうな表情を浮かべていた。マーリンは一つだけため息をつくと顔をあげた。
「それで、私へのリクエスト、お聞きしてよろしいですか?」
凜がトムに一任した理由は明らかである。ここでこも
「リーナに新しい戦法を持たせたい。⋯⋯それは『魔女っ子』だ。」
トムの一言に二人は目が点になる。しかし、トムの説明に半信半疑までその表情が戻る。
「つまり、それで、あなたが『
一方、太宰府は必勝を期し、ルークを
「
ルークが宣言すると馬にまたがる槍を持った武将が形成される。
「トム、一つ言っておくけど、ルーク、いや呂布奉先は弓の名手でもある。それは分かっていての作戦だろうね? しかも、彼は僕と同等まではいかなくてもかなりの能力を持っているはずだ。」
凜はトムの後ろ姿に念を押す。
「ああ。ただそのC3の持ち主はこちら側にも三人いるんだ。」
「ただC3も万能じゃない。それぞれに特化された能力の
「
リーナの宣告にどよめきが起こる。ネタは「幻月」で一緒だが、いつもの「リンドブルム」ではなくヒロインの「アヴィ(アヴリル)」を持ってきたのだ。
「アヴィ」は手にカドゥケウスを持ち、背に天使の翼を持つ、まさに「魔女っ子」であった。
「『意表をつく』ことには成功しましたね。」
皮肉とも褒め言葉とも付かぬマーリンの論評に
「『度肝』までは抜けなかったけどね。」
凜のリアクションもやや冷淡であった。
ルークの操る「覇者」が馬と共に突進する。「アヴィ」はひらりと舞い上がってそれを躱すと逆に背後に杖から発する重力弾を叩き込む。アヴィはさらに上昇するとカドゥケウスを振るう。
一方、「覇者」は弓に持ち替えると矢を放つ、それは次次に放たれると「アヴィ」を追い始めた。7本の矢が軌道もスピードもバラバラに襲いかかる。凜が警告していたのはこれだ。
「リーナ、心配は要らない。この競技だけは俺たちが上だ。」
トムの励ましにリーナが頷く。
「出でよ、月の雫たち、エトワール!」
「アヴィ」が杖をふるとキラキラとした光が溢れ出て、矢を次次に落とす。
(クソ、確かトムが
ルークは意味を悟る。カドゥケウスは重力を細かく制御できるのだ。
つまり、重力の密度を変えてムラを作り、それによって重力の「風」を作ったのである。物理的な「風」に全く影響を受けないはずの
しかし、手が届かぬ以上、矢の数を増やすしか無い。再び矢を弓に番えた時、「覇者」の体に衝撃が走り、馬から投げ出される。
「しまった、これこそが
ルークが矢に注意を集中させた瞬間、ロープのように張ってあった重力バリアにひっかけられたのだ。落馬の衝撃で「覇者」の身体がフリーズした瞬間、「アヴィ」がカドゥケウスから放った
「勝負あったな。」
これで最後のトーナメントにベスト8をかけられることになった。そして、最後の対戦はルーク対凜である。
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