4-ありがとう


そして、僕は今親になって約半年。

毎日、初めてのことばかりでてんやわんやだ。でも、それも幸せな時間なのかもしれない。娘は元気に育っている。生まれたばかりのころは、母があやす方が泣き止むし、寝るし、なんだ~僕じゃなくてもいいんだと思っていた。でも最近は、僕が少しの間姿を見せないと、きょろきょろして少しぐずぐずする。みんなが大丈夫、ここにいるよと僕の顔を見せると、満面の笑みを僕に向けてくれる。もう天使以外のなにものでもない。僕じゃなくてもいいんだと思っていた数ヶ月前だけど、今は僕じゃなきゃダメになってきて、やっと親としての実感がわいてきた。今までは簡単に言ってしまうと、本当にただお世話する人だった。きっと、こうやってこの子が僕のことを親にしてくれるんだろうと思った。ただでさえわが子は、赤ちゃんは、かわいい。僕の心は男だ。だから、娘なんて余計かわいい。願わくばデートしたいくらいだ。


正直、周りが不思議に思うように、僕もとても不思議な気持ちだ。僕が僕であることに変わりはないけど、この、子どもをなんとも愛おしく思う気持ちは、母性なのかとふと思う時がある。それとも、男親でも感じるものなのだろうか。たとえそれが母性でも、不思議なことじゃない。だって、体のつくりは女だから。たまに自分の中でも、ん?と感じることが生活の中である。でも、その不思議な気持ちは僕がGIDである以上続いていくものだ。これも正直想像していなかったことだけど、これが僕の選んだ人生なんだとかみしめている。


そして、僕はここまで生きてこれたことに感謝している。この場を借りてありがとうと伝えたい。僕のことを見守ってくれた人、僕に協力してくれた人、僕に寄り添ってくれた人、僕のことを理解しようとしてくれた人。誰がかけても今の僕はなかった。娘にも会うことはなかった。きっと、これからもその人たちがいるから頑張っていけると思う。そして、もう一人。僕には大きな存在が増えた。妹に言われた。

「いつもそばにいてくれる一番の味方ができたね」と。

その通りだ。これからなにがあっても、僕はこの子と一緒だ。僕がどんなにぶつかっても母とは離れられないように、娘ともそうなっていくかもしれない。

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