2-あなたはあなた、僕は僕
きっと僕のように自分の性で生きていくのか、それとも、自分の子どもがほしいし・・・と悩んでいる人は少なくないと思う。
一言で言ってしまえば、思うように生きたらいいと思う。
周りにどう思われるかじゃなくて、自分がどうしたいか。だから、子どもをもつ選択をするのも一つだと思う。でも、周りの目はすごく気になると思う。僕だって気にならないわけじゃないし、友達全員が理解してくれるとも思わない。今だって新しい家族がいることを知らない友達もいる。知らせていないのは、反応が怖いからだ。でも、いつか話す時がくると思う。そのとき、僕はGIDで子どもを産んだということで偏見の目で見られるかもしれない。そして、本当はGIDじゃないと否定されることもあると思う。正直、そんな辛いことはない。僕が僕であることを否定される。でも、それが僕の選んだ道だし、全員が理解してくれなくても、必ず理解しくれる友達や家族がいるはずだ。そして、理解してもらえず、偏見の目で見られて辛く思うこともあるかもしれない。でも、それ以上にかけがえのないものを手にいれられる。わが子というのはそれほどの存在だ。
ある意味、僕たちGIDはこの体で生まれて得をしているのかもしれない。僕の場合は体が女だから、それで苦しんだことの方が多い。でも、男性が絶対知ることのない女性にしかわからない体の悩みを知ることができたり、決断さえできれば出産だって経験することができる。それは、男性には絶対わからないことだけど、この体だから知ることができる。そして、心は男だから男性の気持ちは想像しなくてもわかる。世間からしたら女だから、女性として扱われるのは辛いけど、それはどういうことなのかということも知ることができた。男性から好かれるとはどういうことかもしれた。きっと、どちらとしても生きなければいけなかった、今までのおかげで、僕はたくさんのことを知れて、多くの人の気持ちがわかった。これはこの体で生まれたからできたことだ。悲観することも多かったけど、得たもののほうが多かったかもしれない。そう思えればこの体と心でよかったかもしれない。
これから娘が成長するにつれて、僕はどう生きていくか考えている。僕のことをどうやって伝えていくのか。むしろ伝えないのか。でも、きっと僕は娘に対して正直に生きていくと思う。もし、二人目三人目となったとしてもそれは変わらない。子どもたちにはそういったことに偏見をもたずに、むしろ周りに協力できるような子になってほしいからだ。もしかしたら、わが子が自分と同じことで悩むかもしれないし。そうしたときに、一番の理解者でいられるように、僕自身の人生を語って、子どもたちを育てていくと思う。それがいいかどうかは別だけど、嘘をつかずに、自分として生きていくことの大切さを知ってくれればいいと思う。
僕のこれからの人生の展望は全くの未定だ。たった25年で両親の離婚、性的強要、転校、ストーカー、GIDとしての人生、出産。と何人かの人生をかき集めたんじゃないかと思うくらいの色濃いものだ。だから、これからももっと多くのことがおきるだろう。なにもないなんて考えられない。それでも僕は誇りをもっていけるような人生にするだけだ。
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