第2189話:キャラバリ・レリング~有り金全部溶かした~
「さて、まだやります?」
「いやぁ、この辺でやめとこうかな……」
堅実な判断で撤退するようなことを言っているが、実際は所持金が0になったから情けなく逃げ帰るだけだ。
ルーレットで16に賭けた時に15が出たり、4と5に跨って賭けた時に6が出て見たりともう少しで当たりそうな感じが出ていたのでずるずるとかけ続けてしまったが良く考えてみたら賭けボード上では隣接していても円盤状では全然隣接もしていない。
これではあと少し運があってボールが掛けた側に傾こうともそこにあるのは違う数字であるということに気づいたのは有り金が0になる結果が出た後だった。
このざまでは万が一必ず勝てるギャンブルなんて物を持ちかけられても、元手が0ではどうしようもない。
文字通り、賭ける物が無ければ賭けになることはないという話だ。
そんなことを考えながらカジノを出てすぐ、誰かが話している声が聞こえた。
「本当か? このカジノのディーラ―、出したい目を自在に出せるって」
「ああ、確かに見た。からかうように1違いの数を出し続けてじっくり絞りとるんだ。スゲーのが1つだけ穴を開けて賭けたら小勝ちぐらいにはなるだろって考えた奴が、その唯一開けた穴に落とされて大負けしたって話もあるぐらいでよ」
「そんなカジノではさすがに勝てんな……」
「ああ、全くだ」
元手0でもできて必ず勝てるギャンブルの話でもしていてくれればよかったのに、ただ俺がカモられていたという話をしているだけだった。
さすがに35点賭けして外したりはしていないが……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます