第2186話:クベ・シガリス~虫の群れ~

「このままだとこの街は滅びる」

「なぜ?」

「この街からあっちの方向へしばらく行ったところにある廃墟、そこに虫の卵が湧くポイントがあるんだ」

「はぁ」

「そこに湧く虫が非常にヤバい虫でな、数万匹の群れを構築してどちらかの方角へあらゆる植物資源を食いつぶしながら移動する。この街は86%が木造建築であるため、こちらの方角へ行軍されたら当然のように滅びる」

「そんな虫があの廃墟に!? なぜ知りながらにして放置されていたのでしょう?」

「本来であれば定期的に巡回し、あの廃墟に卵が湧いていないか確認しているのだが、今回はあのあたりに強い魔物が現れたりした関係で調査が疎かになっていたようだ」

「で、どうしたらよいのでしょう」

「あの虫が孵化する前にこの街の木造建築を石材に作り変えてしまうか、街を捨てる決断をして皆で逃げるかだ」

「逃げましょう」

「決断が早いな」

「そりゃあそうでしょう。今から石材建築にすべて作り変えるなんて現実的ではないですし、生きていればなんとかなることもあるでしょうから」

「まぁ、そうなのだが……そうだな、皆に伝えてきてくれ」

「はい、直ちに」


「石材建築を突貫でやるのも結構楽しみだったんだが、逃げてくれるならそれに越したことはないか……」

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