第2142話:アブシ・テプシー~長髪~

「なんでだ……」

朝起きたら髪が滅茶苦茶伸びていた。

思い当たることいえば機能酔ってるときにもらった薬を疑うこともなく飲んでしまったことぐらいか……

間違いなくそれだな……

「しかし、これはさすがに床屋に行くしかないな」

せっかく伸びたのだが、伸ばすつもりもなく腰の下まで髪が伸びてしまうと邪魔でしかない。

「休みか……」

すぐにでもと思って行きつけの床屋を調べてみたら休みだった。

次の営業は……来週から……!

つまり今週いっぱいはこのままで過ごすことになるのか……


長髪はとにかく不便だ。

椅子に座るにも背もたれと背中の間に髪が入ると立ち上がろと体を前に傾けるときに髪が突っ張って首を痛めそうになるし、何かを食べるときに前髪が邪魔になる。湿度が少し高くなるだけでゴワゴワして不快感は数倍にもなる。

元々、他人の長髪は好みだったのだが、長髪であるというだけで人は様々な不便を強いられるのだということを体感したので、もう長髪が好きだよと言って単発の子に髪を伸ばさせるなんてことはしないようにしよう……

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