第2132話:カプリ・パッケ~吸血鬼~

「人間の生き血を吸う化け物が夜の世界にはいるのだ」

「人の血をねぇ……」

 そういえば小さな虫なら心当たりがある。

 引っ付いて来て、細い針の口を肌に突き刺して血を吸い上げる虫だ。

 しかし化け物と言うからには相応の邪悪さを持つのだろう。

「虫とは違うんだろ?」

「もちろん超常の力を備えている。人とそう変わらない姿をしていて、見た目からは想像もできないほどの膂力を備えている。不死だとも言われており、数少ない弱点を突くか、永遠に封印をしないと対処ができないそうだ」

「不死ならこの世界にはいないんじゃないのか」

「まぁそうなるが、いくつかの方法で殺すこともできるとされているから、何体かはこの世界に来ていてもおかしくはないんじゃないか?」

「まぁそうかもしれんな」

 殺せる手段があるなら恐ろしさも半減だ。

 何よりこの世界に来た時点で不死はあり得ないし、様々な不死の力はこの世界では無効化されるとも聞いている。

「そんな噂の怪物よりも恐ろしい物はいくらでもあるからな。弱点とかは何があるんだ?」

「陽の光に晒すと死んだりするらしい。特定の素材で作られた武器でも致命的なダメージを与えられるらしいが、何なのかはわからん」

「そこが一番大事なところじゃないのか……陽の光に弱いなら夜中に出歩かなければ出会うことはなさそうだな」

「まぁそういうことだ」

「ところで血を吸うって言う話は何だったんだ?」

「人を積極的に襲うってことさな。虫に刺されるとは話が違うぜ? なんと血を吸われたものは操り人形にされちまうらしい」

「それは……怖いな」

 さすがにな。

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