第2130話:カパリム・ポータン~このまま一緒に~
「さぁ、追い詰めたぜ。もうお前の好きにはさせないぞ」
「ふふふ、追い詰めたか……それはどうかな?」
「確かにお前の逃亡スキルは異常な物があった、それは間違いないがもう逃げることはできないだろう。さすがにメインのアジトを爆破され予備のセーフハウスを3つ潰し、協力者を7人拘束し、衣服を12回も剥がれて下着一枚になった状態でこんな断崖の絶壁に追い詰められた状態でどう逃げられるというんだ」
「それだけのことを1日の内に行った君には感嘆の一言だが、私を甘く見ては行けない。身一つになってから何度貴様の視界から消えたと思っているのだね。その数実に578回! 私を追い続けるのは事実上不可能と言っても良いのだが、君とはどうにも相性が悪いようだからね。何か行動を起こすたびに君に追われるのはもううんざりなのだよ。ここには追い詰められて来たのではない」
「何……?」
「ここで決着をつけようじゃないか」
「決着? お前が俺につかまる以外に決着などあるものか、それともまさか、お前が俺を殺すとでも言うのか? 地形を利用すれば戦えるとでも? ただ逃げるしか能がないお前がか?」
「ふふふ、まっとうに戦って勝てるとは思っていがね。では、行くヨ」
そう言うと、彼は崖から飛び降りた。
「なぁっ」
決着をつけると言いながらもいきなり飛び降りて逃げる、いや、こんな場所からあんな飛び降り方をしたら死ぬしかないような気もする。
慌てて飛び降りた崖際まで走り寄り、下をのぞき込む。
「ばぁ、捕まえた」
どう崖につかまったのかは定かではないが下から飛び出してきて体を掴まれそのまま崖下に引っ張り込まれた。
「ちょっと待て、ここからどうするつもり何だ、まさか心中するつもりとか言わないよな?」
「このまま一緒に崖の下に落ちるって? 私としては君がいなくなれば楽だからそれでもよいが、君も死にたくはないだろう? 君が私の協力者になってくれるというのなら、助かる方法を教えてあげてもいいが……ならないというのなら、このまま落ちるしかない」
「なるわけないだろ! いい加減にしろ!」
「そうか、なら仕方ない……ともに落ちるとしよう」
そう言うと落下し始めた。
「う、うおー!?」
「では、さらばだ」
「へ?」
落下の衝撃はすぐ来たし、大したことは無かった。
肝心の彼はといえば、
「実を言うとここはよく撮影に使用される見た目だけの崖なんだ、騙してごめんね。では、もう追いかけないでくれたまえよ」
という声だけが残っていて、もうどこにいるかわからなくなっていた。
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