「ん……ちょっと目が悪くなったかもな」

　目の前にいる人がどうにもすこしボヤっとしか見えない。

「でも他の物ははっきり見える……」

「あ、いやそれで問題は無いんですよ。私は少し他の人に比べて解像度が低いみたいで……」

「解像度が低い？？？？？」

　デジタル画像の解像度が低いというのならわかる、デジタル画像は分解能を調整することで解像度が変わるからな。

　しかし物体はアナログだし、脳の信号に置き換わる際に眼球がデジタル信号にしているとしてその際の解像度は眼球のスペックに依存するはずだ。

「どういうわけか私は他の人よりも解像度が低く光学機器に映るらしくて……どうしてもボヤっとしてしまうんですよね……」

「そういうこともあるんですね……」

「はい……」

　試しにカメラで撮影してみたとところ、確かに彼だけボヤっと写った。

　どういう仕組みかはわからないが、彼をはっきりとした存在として捉えることは不可能らしい。

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