第2099話:カルパト・コルタル~声帯模写~
「今知り合いの声がしたような……」
「はぁ? 誰の声がしたって? 誰だろうとこんなところにいるわけないだろ」
「そうだよな……?」
ここは深い森の中。
未踏地域調査にペアで訪れているので、現状他に誰か声をかけてくることは無い。
もしあるとしたら運悪くこの辺りに転生してきた人が生存している場合に限るだろう。
もしそうであるならば、保護して近隣に村を構築しているか確認して文明を享受するかの提案をしたいのだが、姿が見えないのでそれもできない。
「俺には何も聞こえなかった、気のせいだよきっと。ほら行くぞ」
「あ、あぁ。行くよ」
更に少し進んだ先で
「……」
遠くからまた何か聞こえてきた。
「おい、やっぱり誰かいるぞ」
声は先ほどと同じ、間違いなくここにいることは無いであろう友人の声だ。
「ほんとかよ? 仕方ない、少し探してみるか」
「……」
「また聞こえた」
「……」
「助けを求める声だ、こっちの方……!」
「待て」
「おい、どうして止めるんだ」
「絶対に聞こえないはずの聞き覚えがある声がしたらそれは罠だって話、知らないのか? お前の知り合いはこんなところにいないし、助けを求める奴もいない。人間の脳をハックして誘い出すヤバい動物がいるんだよ。そいつがこの森にもいるにちがいねぇ」
「あ、そうか、そうだよな」
頭ではわかっていてもどうしても気になってしまう。
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