第2041話:ミャー・ラジィ~恐れるなかれ~

「死を恐れてはいけない、あなたたちは皆死を越えてこの世界へとたどり着くことができたのです。なぜ今になって死を再び恐れる必要がありましょうか」

 地下深くに作られた教会。

 今日も信者たちを集めて教義をとくとくと説いていた。

 ここの宗教の内容は簡単に言ってしまえば一度死んだのに生きている我々はいまさら死を恐れる必要などないという内容で、死を恐れて過度な苦労や悲しみを受けるのは幸福な人生を妨げるという、死後の世界に生きることの精神的な重さを緩和するというものだ。

 一度死んでもともと持っていた宗教観がぶち壊されて宗教というを失った人に新たな拠り所として徐々に受け入れてもらえている。

 やはり人には精神的な拠り所が必要なのだと実感した。

「教祖様これは?」

「身を守るための道具です。この世界には危険な生物も多数存在するし、文化の違いから暴力的になる人もいます。そういった人から身を守るためにこういった道具が必要になるのです。自分の身、仲間の身を守るためにも使い方を覚えておくと良いでしょう」

 そうやって、いろいろな考え方、身の守り方を彼らに伝えることで皆に幸せな人生を送ってもらいたい、そう思って毎日考えているのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る