第2023話:メグサ・イジトカ〜火事〜
「火事だぁー!」
誰かがそう叫び、付近で煙が上がっている場所に人がものすごい勢いで集まっていく。
集まった皆が手元の端末を使い火事の様子を見ながら賭けにベットしていく。
火事で何割の家財道具が燃えるかの賭けだ。
この町で火事がエンタメとなって久しい、特殊な建築法で室内の火事が隣接する部屋に延焼することがなくなっており、火事を出した本人の部屋の心配しか必要がなくなった。
そこで考え出されたのがこの、焼率予想。
部屋の家財道具の何割が燃えたかを皆がお金を賭けて予想して、当たった人には配当が出る。
配当以外の集まったお金が火事を出した人に支払われるという仕組みになっている。
問題としては全焼に賭けて消火活動を妨害する人が現れたことだが、全焼に賭ける人が増えて配当が少なくなってしまい、今度は割合を減らして消火活動を手伝うようになった人も現れ始めている。
そんな形でこの町での火事は不幸な事故というよりも皆で楽しむお祭りという面がとても強くなっているのだった。
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