第1972話:キリ・リゴー~半透明~

「おお、半透明な人だ」

「半透明な人だよ~」

 身体が服も含めて全部透けている人と会った。

「ずっと不思議に思っていたんですけど、透けている人の着ている服は透けているのになんで体は見えないの?」

「え、えっち!」

「いやいや、変な意味じゃなくてさ。普通に考えたら半透明の服を着たら透けて体が見えるじゃん。なのに半透明な人が着てるときは体透けないのって不思議だなってずっと思ってただけなんだよ!」

 別にえっちな意味で聞いているわけじゃないよとなんとか誤解を解こうと言葉を並べる。

「言葉増やしても全然言ってる意味変わってないよぉ~!」

「えー!」

 誤解を解くのはもう仕方ないか……

「もういいや、えっちな意味だって誤解しててもいいや。なんで透けないかの疑問には答えてくれるかなぁ……」

「うー、まぁいいけど……私たちの話なんだけど、簡単に言うと半透明な物の裏にある半透明な物は見えなくなるの」

「そうなの?」

「そう、例えば服じゃないけど、私の体が半透明でも内蔵は見えないでしょ」

「そういえばそうだな……」

 見えたらそれはそれでグロいが……

「今変なこと想像してたでしょ、えっち!」

「いやいや全然変なことは考えてないよ!」

 いや、変なことは考えてたかも……? でもえっちではない。

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