第1939話:ジャブ・リレード~イレイザー~

「なんでも消せる消しゴム?」

「ああ、どんなものでも消すことができるんだ。例えば、この書き損じを」

「それ鉛筆じゃなくて筆を使って墨で描いた奴だぞ。消しゴムでは消えないだろ」

「紙ごと消すことだってできる」

「!!??!!? それは消しゴムとしておかしいだろ!?」

「おかしくはないさ、この消しゴムは消すという概念を練り集めた物、紙に書かれた字にとどまらず、紙そのものも消せる、実際はこすった物を何でも消すことができるが最初に消してインパクトの強さを考えるとやはり紙に書いた墨の字を消すと見せかけて紙ごと消すというのが良いと思ったんだよ」

「紙以外も消せんの!?」

「ああ、やろうと思えば机とかも消せるが、机とかを消すのはもったいないだろう?」

「まぁ、確かに……ていうか、よくもそんな物騒なもんを秘密の宝物を紹介するみたいな感じで見せびらかせたな」

「面白いだろう?」

「こえーよ!」

「そうか、君も気に入ったか。それはよかった」

「この反応をどう解釈したら気に入ったと思うんだよ、共感能力その消しゴムで消したのかよ」

「ん、ああなるほど。道理で昨日から人が離れていくと思ったよ。共感能力を失っていたからなのだな、これはうっかりだ」

「いや、あんたは割と普段から共感能力は欠如しているよ、今日は輪にかけてヤバいがな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る