第1913話:カケルラ・リオルト~正直者~
「君は類稀なる嘘つきとして有名だそうだね」
「まぁ、気づいたらみんながそう言うようになっていたね。僕はたまにしか嘘を吐かないというのにさ」
訪れた村で聞いた話、この村には嘘つきがいるという話だ。
その嘘つきは嘘つきとしての才能が特出しすぎていて、村に住む者は全て彼に数十度騙されたことがあるという話だ。
大きな村というわけではないが人数が少ないというわけでもない。
そんな中で全員が数十回騙されているというのは、どういうことだろう。
普通一度騙されたのなら警戒する。
そうであるならば、騙されることはそうめったにないはずだが……
しかし村人も嘘はついている風ではなかった。
つまり、本当に彼に何十回も騙されたことがあるということだ。
それほどまでに天才的な嘘つきなのだろうか。
「村人たちを何十回も騙しているそうじゃないか」
「うん、騙して遊ぶことはよくあるよ。回数までは数えていないから何十回も騙したかどうかは覚えてないな」
今のところ村人との話に矛盾はない。
しかし彼も嘘つきという感じではない。
彼自身と、村人全員が彼について嘘を吐いているのだろうか、言っていることきを注意して聞いていると、嘘だとわかるタイプの嘘だろうか。
今この瞬間もいくつかの話題で話しかけてきている、この内容が嘘なのか……?
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