第1893話:テプ・ウラウラ~乱戦~

「うわぁよくやるなぁ」

 ドッカンバッカンと戦っている音が途切れずに響く。

 今あの場所に皆集まって戦っているのだろう。

 俺は要領よく相手の数が減ってしかも疲弊しているであろう場所を狙って攻め込ませてもらうぜ。

 だからあんなふうに乱戦に身を投じるなんてことはしないし、こうやって戦況が俯瞰できるような位置で様子を伺うんだ。

 俺は賢いからな。

 今戦ってるのは8人ぐらいか?

 それらが思い思いの形で殴ったり撃ち合ったりしている。

 一応周りを警戒しながら戦っているようだが、8人の乱戦では今自分の目の前にいるやつ以外の動向を確認しながら戦うことなんてできるはずもなく、お互いの流れ弾や広域攻撃で巻き込んだり巻き込まれたりしている。

 そのせいで目の前にいるやつに集中することもできず、なんだかグダグダに見える。

 まぁ本人たちは必死でやってると思うんだが遠くから見てる分には他人事だ。

「そろそろかな……」

 そうやって見てると8人ぐらいで戦っていたやつはもう3人ぐらいになっている。

 5人は倒れたようだ。

 今から向かえばちょうど1人が倒れて2人がお互いに集中して戦っているタイミングで突撃できるだろう。

 そうなったらもう優勢な方にふいうちして何が起きてるかわからないもう1人を倒して総取りだ。

 よし、行ける。

 そう考えて飛び込んだら想定通りちょうど1人が倒れた。

 よしよしと内心思いながらどっちが優勢なのかを判断していると、別の方向から飛び込んできている奴がいる。

 同じことを考えてたやつがいるのか……!

 止まることも考えたが向こうも気づいている気がして、そのまま突っ込む。

 結局6人ぐらいが同じことを考えていたらしく8人の乱戦に突入した。

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