第1840話:セラフ・ミヴィ~武~

 その身一つの武術のみで並ぶ者無しということで有名な人が近くで戦っていると聞いてその様子を見に来た。

「お、あっちから戦ってるみたいな音が聞こえてくるな」

 打撃の「パシッ」みたいな音が聞こえてくる方へと進む。

 結構距離が離れていると思うが、打撃音が聞こえてくるなんてすごいパワーだ。

 火薬とかの破裂音ならともかく、人が技術で打ち出す拳が肉に炸裂する音が何部屋も離れて聞こえて来るなんてすごすぎる。

 近づいてきて、少し離れてるときは「パシッ」って音だったのがだんだん「バシィ!」という重い音に聞こえ始めてやっぱりすごい強いんだと思ったが、だんだんそんなことよりもこんなに打ち込まれて「相手の方は大丈夫なのか?」と思い始めてきた。

 ようやくたどり着いた部屋をのぞき込むと、息を切らせながら倒れている人が数人、今現在戦っている二人は片方が息を切らせながら打ち込み続けている。

 何連戦もしていたのならさっき思った、相手が打たれ強すぎるというのも納得できる。

 最強と言っても何連戦もしているのならまぁ息切れしてるのも仕方ないかと思って見ていると、打ち込んでいた方が倒れた。

 体力が切れたという様子だ。

「次、誰かいないか?」

 そう言うのは先ほど打たれ続けていた方。

「もう無理ですよ、どんだけ打ち込んでも倒れないんだから、勝てませんって」

 倒れた一人がそう言った。


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