第1814話:ミケラ・ヒィンネン~中古~

「これ全部中古品なんですか?」

 超巨大な倉庫にも見える売り場には通ることが出来ない人も多々いるであろう狭さの通路を残して他は全て棚や雑多な商品であるらしいものが埋めていた。

「そうさ、ここが最大規模の中古品取扱店。ありとあらゆる使用済み品が集まっているんだぜ」

 そう、世界各地から集った誰かの使用済みのアイテムたち。

 それらには不思議な価値があることがる。

 いや、大抵のものは新品未使用品というわかりやすい価値を失っているので通常定価で買うよりは安いものも多い。

 しかし、中にはお宝と呼べる品も多数存在しているのだ。

 多数と言ったがその他の品は無数に存在するので当たりを引くのも一苦労。

 そうであるならば、中古品の中からお宝を探し出すことを生業にしているものがいるのも当然の成り行きというものだろう。

「例えばどんなものが高値になるんですか?」

「わかりやすい例だと、もう生産されていないものかな。消耗品とかだと希少価値とかが乗るから値が上がりやすいし、ここの買い取り担当はコレクターズアイテムの希少価値には高値をつけるが大量生産品の数少ない残りとかにはあまり価値をつけないんだ、調べるのが大変だからね。まぁ、消耗品の中古だから完品で手に入ることも希だし、生産終了品の完品なんて見つけたらそういう筋のマニアには高額で引き取ってもらえるね」

「はぁ、奥が深いんですねぇ」

「なんの、この辺りの話はまだ浅い方さ、もう少しこのタイプの品で価値があるものがあってね、本当に見つけるのが困難なものなんだけど、この世界ではそもそも生産されてないもの、他の世界で生産が終了して、さいごのひとつが失われたときにこちらの世界に表れる。通称ラストナンバーってのがあるんだけどこれが本当に価値が高い。それがもし、卵入りとなれば、七代遊んで暮らせる額、もちろん比喩だが、そんな額で取引されるんだぜ」

「そうなんですか!? それは俄然やる気が出てきましたね、卵入りラストナンバーを見つければいいんですよね!」

「ああ、その意気だ」

 まぁ、大抵のラストナンバーは卵拾いのてによって集められた中にあり、中古として出回ることはないのだが。

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