第1791話:リレ・ラローン~通路~
「ちょっとあんた、一回一人で来てるんでしょ先見てきてよ」
「別にいいけど、なんにもなかったからね?」
そう言って、いったん友人を置いて通路を先に進む。
ここは最近話題になっている心霊スポット。
すでに一度死んだ私たちが心霊スポットに遊びに来るというのは少し変な感じがする、今死んでるというわけではないからそうでもないか。
まぁそんなこんなでみんなで肝試しに来たというわけだ。
心霊スポットと言っても、私はすでに一人で先に下見をしに来ていて、何も起きない雰囲気だけいい安全な廃墟であることを確認している。
だから、みんなビビってるだけで特に危ないことは起きないことも知ってるし、だからこそ一人で行かせるようなこともする。
「お、おい!」
少し進んだところで後ろから突然呼び止められた。
「どうしたの?」
妙な慌てようを少し疑問に思いながら振り返る。
その表情は何かとんでもないものを見ているようで、しかしここには何もない。
なんだなんだと通路を戻り、話を聞く。
「お前、見えてなかったのか?」
「なにが?」
「そりゃあ、あの通路の向こうにいるすげぇ化け物だよ。お前が先に進んだら出てきたけど、お前気づかずに進んでいくんだもんよ、ビビっちまったぜ」
そんなの、全く見えなかった……
「でも、一人で来たときは何にもおきなかったよ?」
「そりゃあお前、今気づかなかったんだから、自分では気づかないんだろ?」
「てことは……」
一人で来た時に、見えない何かに向かって一人で突っ込んでいったことを想像する。
「別に後ろから来る人を脅かすだけで別に害はないってことなんじゃないの?」
「……そうかも」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます