第1770話:キアビム・リーゲット〜崖下〜
「おっと、危ない危ない」
ロープを垂らして降りる。
ここは大地の裂け目、そこに降りた人はいないと聞いて来た。
その底には何があるのか色んな話がまことしやかに囁かれているのだが、誰も本当のことは分かっていない。
そこで俺が降りて何があるのかを調べに降りているという訳だ。
まぁ、酒の席での大言壮語と言ってもいいぐらいの大口が原因となっている訳なのだが……
無限に長いロープを用意して、それにフックを引っ掛けてそれを頼りに降りていく。
死んでもおかしくはないと止められたりもしたのだが、言ってしまったからにはやらないことはない。
ロープ一本でこんな場所に降りてるのはそんな理由で、上を見てみる。
すでに地上は遠く、見える光は小さい。
それでもまだ底の方が遠いような気がする。
大丈夫、まだ行ける。
すでに壁は見えないぐらい暗く、持ってきたライトの明かりの範囲だけしか見えないが、底まで光は届いていない。
ついに上に光が見えなくなった。
単純に光が届かない深さになったのか、夜になったのかわからない。
そろそろキツくなってきたし、一旦休むか。
ロープに引っ掛けて展開できるハンモックを開いてそこに腰を下ろす。
そろそろ底に降りられるかどうかよりも、もし底にたどり着いた時にどうやって戻るのかを考えた方がいい気がしてきた。
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