第1755話:セイ・ラクス~異常な町の異常な出会い~

 先日、私はこの異常な世界に生まれ直すことになり、そこで出会った異常な面々との異常な日々、それは今まで普通に生きて普通に死んだ、普通で普通な私にとっては楽しく刺激的でありつつも、普通で普通な私にとっては自分が見劣りしてしまうようで、長く居られる場所ではないと思えてしまった。

 だから、みんなとはさよならだ。

 私は私なりにこの異常な世界の中で、何とか独りで暮らせる居場所をつくって生活することにしていこう。

 そう決めて、彼らにその旨を話した。

「別に、僕らは君のことを負担とかそんな感じで考えちゃいないさ」「むしろ普通な分気にすることが少なくて楽だよね」「異常な私らが集まって暮らすには君みたいな普通のやつが要になってくれないとすぐバラバラになっちゃうんだ。私は困らないけど、居てくれると助かるな」

 そう口々に私に居てほしいという話をされて引き留められた。

 そこで気づく、そうかと。

「このあちらの世界とは異なる異常な世界、あなたたちのような人たちこそが普通で、異常なのは私の方だったんですね」

「は、俺たちが普通なわけないだろ。異常だよ異常、普通のやつらってのはああいうのを言うのさ」

 そう言って指された先には、普通で当たり前の光景だった。

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