第1738話:エブロウ・イカガキ~ワイルドカード~

「彼はどこに編成しても最高のパフォーマンスを発揮してくれるんだ」

「なんでもできるっていうこと?」

「そう、何でもできるし、場を理解する力がずば抜けている。だからチームの不足を即座に理解して、チームのパフォーマンスを最高にできるんだよ」

「はぁ、すごい人なんですねぇ。でも、そんな人チームに誘致するの大変じゃないです?」

「いや、彼は呼べば割とすぐ都合がつくよ。ただ、一度だけなんだ、彼がチームに加入してくれるのはね」

「一度だけ……、いざという時に一度だけ参加してくれて、しかもどんな状況でもできる限りの最高にしてくれるって考えると、本当にワイルドカードだ」

「そう、この度彼をうちのチームに呼ぶことに成功したんだ」

「えぇ!? なぜです? 今うちは順風満帆で、次の試合も余裕で勝てるでしょ? そんなタイミングでなんでうちに呼ぶんです?」

「彼は実は一回限りの手助けでしかないんだが、彼に手助けされたチームはそれ以降の調子が上がっていてね、なぜだかわかるかな?」

「え、なんでですか? 手助けされたときに勝てるのはわかるけど、それ以降もってのは……」

「簡単な話、彼を加えたチームで最高のパフォーマンスが出るというのなら、彼が参加しているときの彼の要素が不足しているということ。つまりはその特徴を備えた人材を別で入れるとか、そこを補うトレーニングをすれば戦績は上がるのさ」

「なるほどぉ」

「それで今、順風満帆で余裕があるからこそ、今見えない弱点を洗い出してそこを補おうというわけさ、いついかなる強敵が出てきても大丈夫にしたくてね」

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