第1732話:イリブル・フロント~キャンプ~

 森へキャンプに来た。

 昔は何度も行っていたのだが、この世界に来てからはなんだかんだで数年行っておらず久しぶりだ。

 この世界の森はめちゃくちゃでかい木がたくさん生えた森とかあって面白い。

 大きな倒木の脇に場所を決めてテントを建てる。

 最低限の設営を終えて、動物除けだけ張って焚き木集めがてら散歩に出る。

「枝はたくさん拾えるのに焚きつけに使えそうな木の実が全くないな……」

 裸子植物の実は簡単に繊維状にほぐせて芯もあるから焚きつけにとても有用だから以前は好んで使っていたのだが、この森にはない。

 この辺りにはそういった実をつける木がないのだろうか、大きさはともかく見た目はよく知っている気がする見た目のも結構あるし、あると思って探してたんだけどない。

 あんな果肉があるわけでもない、ほぼ木の皮みたいな実を選んで食べている動物でもいるのだろうか、

 仕方ないから拾った枝をナイフで削って焚きつけにするとしよう。


 夜になり、焚火を眺めながらぼーっとして空を見て、いろんなことを考えていると何かの気配が近づいてくるのを感じた。

 動物除けは効いているはずで、この辺りに危険な猛獣や、魔物とされるものは存在しないと聞いていたが、最近になってそういうものが突然湧いてきた可能性もなくはない。

 取り合えず火を消さないようにしておけば野生動物なら近づいては来るまい。

 そのまま夜通し火を絶やさないように、火の番をして近づいてくる気配に対して気を配り、気づけば朝になっていた。

 結局立てたテントは使わず片付け、家に帰ってから寝た。

 慣れたやり方のキャンプではだめだったかもしれない。

 次までにこの世界でもっと安心なキャンプの仕方を調べておくことにしよう。

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